2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K09618
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
富永 康仁 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 助教 (20599245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青天目 信 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30570072)
岩谷 祥子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 特任助教 (60724903)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 先天性GPIアンカー欠損症 / ピリドキシン / 活性化葉酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度に大阪大学病院で先天性GPIアンカー欠損症(IGD)と診断した症例はなかった。また平成26年度より開始したピリドキシンによる臨床研究は平成28年12月で登録を終了しており平成29年度はこれまでのピリドキシン投与症例9例に対してんかん発作の長期経過や発達の評価などをまとめた。その結果、「元々発作がない」あるいは「ピリドキシン開始前より発作がコントロールされていた」症例を除いた4例ではピリドキシン投与で発作が減少した症例が2例あったが発作消失までに至った症例はなかった。しかし発作が残存している症例であってもピリドキシン開始前よりも発達の伸びを示した症例がありピリドキシンは発達促進の効果ある可能性が示された。なお平成29年度は日本周産期・新生児学会で「胎児発育不全を呈した先天性GPI欠損症の一例」を報告し、日本小児神経学会で「先天性GPIアンカー欠損症における血清ALP値の検討」を発表した。その中で高ALP血症はIGDに必ず合併するとは限らず、個々のIGD症例においてもALP値が高値~正常値を呈する場合があることを報告した。特にALP値が正常範囲を呈するとされるPIGLでも高値を示した症例があった。そのためALP値を上昇させる他の病態の存在の可能性を推定した。以上より臨床症状よりIGDを疑う例では、血清ALP値に関わらずフローサイトメトリー解析によるスクリーニングを行うことが重要であると結論づけた。その他、ピリドキシン治療でてんかん発作の抑制効果の乏しかった症例に対して活性型葉酸による新規治療法を検討しており当大学の倫理委員会に研究計画書を申請し承認を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新規症例の診断は当初の目標症例数よりは少ないため進捗状況としては遅れている。その理由として本疾患は非常に希少な疾患であることが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ピリドキシン治療でもてんかん発作の抑制に至っていない症例を中心に今後活性型葉酸の投与を臨床研究として実施する予定である。そのため大阪大学病院の倫理委員会に申請した。その結果2018年3月に申請が承認され今後具体的に活性型葉酸を投与する予定である。
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Causes of Carryover |
新規診断症例がなかったことで従来のピリドキシン治療により臨床研究の症例がなかったためにピリドキシン購入費用が発生しなかった。また平成29年度は活性型葉酸による治療計画を倫理委員会に申請する準備に費やした。その申請も承認され平成30年度に活性化葉酸による治療が具体的に開始できる体制が整った。なお活性型葉酸治療は高額である。体重10kgの幼児に投与する場合、設定の1-5mg/kg/日の投与量では、実際に660-3300円/日が必要となり半年間の投与で12-60万円の費用がかかる試算である。そもそも10kg以上の患者がいること、投与計画では3-5人の実施人数を設定しており最大で概算で300万を超える費用が必要となり現在の次年度繰越額に合致する。
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[Journal Article] Phenotype-genotype correlations of PIGO deficiency with variable phenotypes from infantile lethality to mild learning difficulties.2017
Author(s)
Tanigawa J, Mimatsu H, Mizuno S, Okamoto N, Fukushi D, Tominaga K, Kidokoro H, Muramatsu Y, Nishi E, Nakamura S, Motooka D, Nomura N, Hayasaka K, Niihori T, Aoki Y, Nabatame S, Hayakawa M, Natsume J, Ozono K, Kinoshita T, Wakamatsu N, Murakami Y
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Journal Title
Human Mutation
Volume: 38
Pages: 805-815
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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