2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of microRNAs related to the development of infantile atopic dermatitis
Project/Area Number |
15K09638
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
井上 祐三朗 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任講師 (00456063)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / microRNA / 出生コホート / 皮膚角化細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、出生コホート研究によって発症を観察できる乳幼児アトピー性皮膚炎に焦点をあて、microRNA(miRNA)発現の個体差による遺伝子転写後制御の違いから、乳幼児アトピー性皮膚炎の新たな発症病態を解明することを目的とした。 出生コホート研究のサンプルを用いて同定した「アレルギーハイリスク児において、1才時のアトピー性皮膚炎発症と関連する臍帯血miRNAの一つであるhsa-mir-144-3pは、1才時にアトピー性皮膚炎を認める児の臍帯血血清において、アトピー素因とは無関係に、有意に発現が亢進していた。このことから、hsa-mir-144-3pの標的遺伝子は、1才時にアトピー性皮膚炎を認める児において、発現が抑制されることが予想された。 アトピー性皮膚炎の病態に重要な細胞である皮膚角化細胞では、hsa-mir-144-3pの導入実験により、細胞内脂質輸送に関わるABCA1の発現が抑制されることが確認されたため、平成29年度はABCA1発現抑制による細胞機能の変化について解析をおこなった。hsa-mir-144-3pを導入した角化細胞では、ダニ刺激によるNF-κBの活性化が亢進し、マスト細胞の脱顆粒を誘導するβディフェンシン発現が亢進した。これらの変化は、乳幼児アトピー性皮膚炎の発症に促進的に作用することが予想された。 研究期間全体を通じた結果からは、1才時のアトピー性皮膚炎発症に関わる臍帯血血清hsa-mir-144-3p高値は、アトピー素因とは無関係に、皮膚角化細胞のNF-κBの活性化を介して、乳児期のアトピー性皮膚炎の発症に関与する可能性が考えられた。
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