2016 Fiscal Year Research-status Report
亜急性硬化性全脳炎の病態解明とバイオマーカーの確立
Project/Area Number |
15K09654
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
長谷川 俊史 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90314806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大賀 正一 九州大学, 医学研究院, 教授 (60233053)
松重 武志 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (60528941)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 亜急性硬化性全脳炎 / プロテオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】報告者らはこれまで亜急性硬化性全脳炎 (Subacute sclerosing panencephalitis: SSPE) 患者の髄液を用いて, 炎症性サイトカイン, 細胞骨格蛋白, 代謝産物など病勢の把握のためのバイオマーカー検索を行ってきたが, 効率, 臨床情報の不足および患者検体が希少であることから, 十分な結果が得られていない. そのため本研究ではプロテオミクスの観点からSSPE髄液蛋白の網羅的な解析について検討する. 【対象および方法】トルコHacettepe大学の協力で得られたSSPE患者1例および疾患対照 (睡眠障害) 1例の診断時髄液を用いた. 蛋白濃縮後, ポリアクリルアミドゲルを用いた二次元電気泳動を行い, 対照と異なるスポットの等電点と分子量を求め, 質量分析を施行した. 【結果】SSPEと対照で計472のスポットが検出された. このうちSSPEが対照より3倍以上高く、視認できる明瞭なスポットは11個検出された. 11個のスポットは等電点10付近で分子量①約160kDa, ②約150 kDa, ③約130 kDa, ④約100 kDa, ⑤約90 kDa, ⑥約50 kDa, ⑦約45 kDa, ⑧約10 kDa, 等電点7.6付近で分子量⑨約10kDa, 等電点6.8付近で分子量⑩約10kDa, 等電点6.5付近で分子量⑪約10kDaであった. このうち質量分析により⑪がDermcidinと推測された. 【考察】Dermcidinはanti-microbial peptideおよびdiffusible survival evasion peptideとしての機能が報告されているため, SSPEの病態への関与が示唆された. 今後検体数を増やし, 検討していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DermcidinがSSPEの病態への関与が示唆されたため, 診断, 病勢把握あるいは治療効果判定における有用性の可能性がある.
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Strategy for Future Research Activity |
今後SSPEの病態におけるDermcidinの関与について, 検体数を増やし, 検討していく.
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Causes of Carryover |
学外研究分担者が異動により研究が進まず、使用額が予定より少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に今年度分とあわせてSSPE患者髄液検体の麻疹抗体価を測定予定である。
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