2015 Fiscal Year Research-status Report
乳房拡散強調画像推奨プロトコール作成とADC値標準化に関する研究
Project/Area Number |
15K09913
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
前川 由依 東北大学, 大学病院, 特任助手 (60644698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 忠司 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40151401)
高瀬 圭 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60361094)
高澤 千晶 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (60623189)
伊藤 康一 東北大学, 情報科学研究科, 助教 (70400299)
森 菜緒子 東北大学, 大学病院, 助教 (90535064)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 拡散強調画像 / 標準化 |
Outline of Annual Research Achievements |
造影MRIによる乳房腫瘤の良悪の診断能は、感度90%(52-100%),特異度72%(21-100%)である。高い感度の一方、特異度は低くばらつきも大きいため、推奨グレードはC1(十分な科学的根拠はないが、細心の注意のもと行うことを考慮してもよい)という現状である。 近年、乳房MRIでは拡散強調画像の撮像が行われるようになっている。拡散強調画像は非造影の3分程度の撮像であり、間質の水分子の動きやすさを、見かけの拡散係数(ADC値)という絶対値として測定することができる。ADC値の測定は、乳腺腫瘍の良悪性の鑑別で特異度の改善に有用なことが報告されている。ADC値は、良悪性の鑑別のみならず、腫瘍のグレードやリンパ管侵襲、遺伝子サブタイプなど様々な予後予測因子と相関することが確認されている。しかしながら、実臨床では装置、静磁場強度、コイル、撮像パラメータなどによってADC値は変動するため、普遍性が乏しく、その利用は研究レベルに留まっている。撮像推奨プロトコール作成と再現性確保、標準化は急務である。核医学検査では近年、機能画像に解剖学的、統計学的標準化を行い、定量値を施設間で共有するための技術開発が行われてきた。乳房MRI拡散強調画像でも、撮像推奨パラメータを設定し、装置因子による影響を取り除くように標準化することで、広く臨床でその値を共有することができる、という着想に至った。 本研究の目的は、1.健常人ボランティアの多施設での撮像により、乳腺ADC値に影響を与える装置因子、撮像パラメータ、その変動幅を明らかにすること、2.質的診断に至適なパラメータを設定すること、3.年代毎のボランティアの撮像を追加し、ADC値標準化モデルを作成すること、である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
拡散強調画像は従来EPI法で撮像されてきたが、本年度は拡散強調画像の新たな撮像法であるTSE法を導入した。EPI法では、脂肪抑制によるケミカルシフト、磁化率アーチファクトが多く、標準化の妨げになっていると考えられるからである。手術前にMRIを撮像する乳癌患者、全症例で従来法EPI法にTSE法を加えて2つの方法を撮像し、その画質、診断能を現在比較検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はボランティアを募集し、拡散強調画像を2方法で撮像する予定である。 この際に、ADC値の変動に影響を与えるパラメータを決定し、標準化に必要な撮像条件を検証する。
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Causes of Carryover |
本年度は新たな撮像法の追加と画質、診断能の比較を主体に行ったため、標準化のための解析ソフトの購入やボランティア撮像に至らず、繰り越し額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度はボランティアの募集と撮像、標準化のための解析ソフト購入のために使用予定である。
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