2015 Fiscal Year Research-status Report
短寿命α線放射性核種(アスタチン)の体内分布と甲状腺癌集積性の評価
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15K09955
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
下瀬川 恵久 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座教授 (30370258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 隼人 大阪大学, 医学部附属病院, 特任研究員(常勤) (30649083)
金井 泰和 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座助教 (60397643)
畑澤 順 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70198745)
渡部 直史 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90648932)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | At-211 / アスタチン / 甲状腺 / アルファ線 / I-123 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は大阪大学核物理研究センターのサイクロトロンを利用してAt-211の生成を行い、プラナー型ガンマカメラによる生体イメージングの可能性について検証した。さらに、正常ラットのAt-211投与後のイメージング実験を行い、甲状腺および胃の摂取率を算出して、別の正常ラットで施行したI-123の甲状腺および胃の摂取率と比較した。生体イメージング実験では、At-211自体はα線核種のため可視化できないが、娘核種であるPo-211から放出される低エネルギーガンマ線(79keV)に対し、二面検出器型(SPECT型)ガンマカメラのエネルギーウィンドウを79keV±10%に設定し、低エネルギー(LEGP)コリメータを用いることにより線源の画像化が可能であった。この撮像方法を用いて、正常ラット(Wister、12週齢)に対し、At-211を静注(n=6)または経口投与(n=5)し、30分後、3時間後、6時間後、12時間後、24時間後、48時間後のAt-211の体内分布の経時的変化と甲状腺摂取率の算出を行った。同様の撮像プロトコールでI-123を静注(n=4)または経口投与(n=4)し、At-211と比較した。その結果、At-211はI-123と同様に甲状腺と胃に集積するが、経口投与群ではI-123に比べて胃への滞留が強い傾向にあった。At-211の甲状腺摂取率は、静注群、経口投与群ともに3時間値、24時間値のいずれもI-123の1/10程度と低かった。投与方法別では、静注の方が経口投与に比べて摂取率が高い傾向にあった。一方、At-211の胃の摂取率はI-123に比べて高く、特に経口投与群では3時間値で1.6倍、24時間値で3倍以上の高値を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に計画していたガンマカメラを用いたAt-211の生体イメージングは成功し、正常ラットを用いたAt-211の甲状腺および胃の摂取率試験も順調に実験が進行している。また、当初計画されていなかったが、I-123の摂取率試験も並行して実施しており、周期表上の同族2核種の正常体内分布と甲状腺への取り込みの違いを比較し、明確にすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
正常ラットでのAt-211甲状腺および胃の摂取率試験は平成28年度前半も引き続き実験を追加し、静注群、経口投与群それぞれについて、統計解析が可能な数の被検動物数を揃える。平成28年度後半以降は、ラットの甲状腺癌モデルを作成し、At-211の腫瘍集積性をI-123と比較する。また、低ヨード飼養による腫瘍集積性の違いを検討する。
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Causes of Carryover |
当該年度の最終残額が136円となり、消耗品の購入としても少額であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額と合わせて適切に処理予定。
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