2016 Fiscal Year Research-status Report
膵臓移植および膵島移植におけるPET核種を用いた膵再生能と膵島量評価
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15K09980
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Research Institution | National Hospital Organization Chiba-East-Hospital |
Principal Investigator |
大月 和宣 独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究部), その他部局等, 研究員 (50399755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
圷 尚武 独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究部), その他部局等, 部長 (00344979)
丸山 通広 独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究部), その他部局等, 研究員 (40399754)
西郷 健一 独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究部), その他部局等, 研究員 (60323424)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 膵臓移植 / 核医学 / PET / 11C-methionine / 1型糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
11C-methioninePETを用いた生体および脳死膵移植後におけるグラフト膵生着能の予測を、生体膵移植10例、脳死膵移植14例を対象として検討した。定量的評価を試みるために、生体ドナー膵を基準値としSUV集積度を100%すると、インスリン離脱可能な脳死および生体移植は各々70%、24%、インスリン再導入生体例は12%、グラフト機能不全例0%であった。これらは既報である膵島移植のインスリン離脱には、正常ヒト膵β細胞の30%移植が必要とされている報告にも一致するデータである。以上より11C-methioninePETによる膵機能評価は移植膵の生着能を予測可能な膵molecular imagingであると考えられる。 サブ解析で、以下の検討も実施した。膵移植において、肝移植で汎用されているグラフト重量のレシピエント体重における割合であるGraft Recipient Weight Ratio(GRWR)を膵移植にも適用し、 Pancreas Graft Recipient Weight Ratio(Panc-GRWR)を用いて、グラフト重量の膵移植後のインスリン離脱に及ぼす影響について検討した。移植直前のグラフト重量と手術直前のレシピエント体重を用い、Panc-GRWRを算出。比較基準として、脳死ドナーも同パラメーターを算出した。脳死ドナーのPanc-GRWRは、 0.42±0.10。脳死移植0.47±0.16、生体移植0.15±0.04。脳死移植は脳死ドナーと同率で、生体移植の約3倍であった。予後は、脳死移植において、Panc-GRWR 0.26と最下位2例中1例が術後9ヶ月、生体移植ではPanc-GRWR 0.13以下5例全例が6ヶ月後にインスリン再導入となった。以上より、膵臓移植においても肝移植と同様にグラフト重量は移植後の膵機能発現に重要な因子と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床例では着実に症例の蓄積がみられ、11C-methionine PET/CTによる膵生着能の判断およびその定量的能力が評価可能なことが判明してきている。さらにサブ解析にて、ドナー膵重量が移植後の膵機能発現に影響を及ぼすことが判明してきた。これは、これまで肝移植などのlife-saving-organでは移植前に、グラフト重量がその後生着の有無に大きな影響を及ぼすと報告されてきたが、膵移植のようなQOL savin-organ移植においても重要な因子であるこが判明したことで、本邦初の報告である。膵島移植は、臨床例が研究期間中に実施がなかった。 しかし、臨床例でのデータをさらに強固に裏付ける基礎研究でのマウスを使用しての核医学手法による膵再生能力の研究が停滞している。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床例は、現在でも数例の検査待機例がありさらなる症例の蓄積が可能であり当初の予定通り研究を進めたい。さらにサブ解析によるグラフト重量の重要性も判明したので、これまでの11C-methionine PET研究に加えてグラフト重量を含めて統合的な解析も進める予定である。膵島移植は臨床例の1例でも多く実施したい。 基礎研究は、動物飼育施設も整えており膵トレーサー核種も入手可能で、micro PETおよびAutoradiographyも実施可能な体制にあるので、今後は重点的に基礎研究を推進する期間を設定し基礎研究症例のデータを蓄積したい。
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Causes of Carryover |
基礎研究でのラット実験モデルのトリチウムおよび11C-methionineを用いた膵再生能の検討が遅れているため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
臨床例では、11C-methioninePETでの検査費用の計上を予定しております。 基礎検討例では、ラット購入および飼育費、糖尿病モデル作成での試薬およびトリチウムおよび11C-methionine合成に必要な試薬、サイクロトロン稼働費用、オートラジオグラフィーおよびmicroPET稼働に必要なランニングコストを予定しております。
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Research Products
(3 results)