2017 Fiscal Year Research-status Report
炭素イオン線照射した悪性脳腫瘍細胞の走行性における細胞間相互作用の解明
Project/Area Number |
15K09988
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
吉田 由香里 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 助教 (90431717)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 放射線 / 悪性脳腫瘍 / バイスタンダー効果 / 神経細胞 / 脳正常細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は放射線による脳腫瘍細胞間および脳正常細胞/組織と脳腫瘍細胞の間のバイスタンダー効果について調べることを最終目的とした実験である。 これまで、マウス海馬から採取して初代培養し、成熟期に達した(DIV21)神経細胞およびグリオーマ細胞(LN18、T98G)を用いて実験を行った結果、グリオーマ細胞をX線照射すると、その培地中には、グリオーマ細胞の増殖を一時的に亢進させ、神経細胞は細胞死が誘発されるような因子が放出されることを明らかにしてきた。 今年度は脳正常組織において放射線照射前後で変化する因子について解析する目的で、野生型ICRマウスを用いて、上方から脳局所(Bregmaから後方の小脳は除いた部位)に放射線(X線、60 Gy)を照射した。急性期における変化を経日的に観察するため、照射後0.5、1、3、7日目の脳組織を採取した。その結果、1)照射後0.5日目で活性化ミクログリアの割合が増加しており、少なくとも7日目まで持続していること、2)照射後3日目および7日目では、血管内皮細胞増殖因子の発現量がコントロール群と比べて有意に減少していること、3)照射後、腫瘍壊死因子および核内因子κBが増加すること、が明らかとなった。 前年度までに得られた結果と今回の結果を踏まえて、照射後に脳正常細胞およびグリオーマ細胞から誘発される因子およびその因子が誘発する現象について引き続き詳細な解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
子の養育およびその他の業務が多忙であったことから、当初想定していた研究時間が確保できていない。当初の計画にたいして遅延が生じているが、これまで得られている成果は想定範囲内であることから、次年度には期待している成果が得られるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画している研究内容について早急に実施する。また、育児等で研究時間が制限される場合には、大学の男女共同参画に関わる研究活動支援を活用したり、研究補助員を雇用することで、滞りなく研究が出来るような環境作りをする。
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Causes of Carryover |
子の養育およびその他の業務が多忙であったことから、実験を予定通り遂行することが出来なかったため次年度使用額が生じた。 計画している実験を遂行するための消耗品に充当する。状況によっては研究補助員を雇用するための費用に充当する。結果が得られた場合には、放射線や神経関連学会での成果発表および論文を投稿するための経費に使用する計画である。
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[Book] 生体の科学2018
Author(s)
高橋昭久, 池田裕子, 吉田由香里
Total Pages
5
Publisher
公益財団法人金原一郎医学医療振興財団
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