2016 Fiscal Year Research-status Report
皮膚2段階発がん実験で見出された、PP6欠損によるがん体質化の意義
Project/Area Number |
15K10081
|
Research Institution | Miyagi Prefectural Hospital Organization Miyagi Cancer Center |
Principal Investigator |
角川 陽一郎 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 特任研究員 (60221173)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島 礼 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 部長 (10196462)
佐藤 郁郎 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), ティッシュバンクセンター, 部長 (50225918)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 実験外科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの全exonシークエンスにより、外国のグループより、malignant melanomaで、Ppp6cの触媒サブユニット(Ppp6c)の、機能消失型変異がドライバー変異の一つとして働く可能性が報告された。一方、我々は、Ppp6cが、がん抑制遺伝子として働くか否かを証明するため、Ppp6cのconditional KOマウスを作製し、DMBAによる皮膚発がん実験を行ったところ、PP6欠損では強い腫瘍促進状態におかれていることを見いだした。そこで、この減少のメカニズム解明を試みた。これまで、皮膚DMBA/TPA 2段階発癌実験において知られていたことは、TNFα欠損するマウスにおいては腫瘍化が起こらないということであった。その理由としてNFκBの経路による炎症が鍵となっていることが考えられた。そこで、病理学的に検討した。Ppp6c欠損皮膚にDMBA処理をすると著しい慢性炎症が発生することが明らかとなった。次ぎにPP6欠損ケラチノサイトと正常ケラチノサイトを単離し、TNFαおよびIL1-β処理の影響を調べた。両方の処理ともに、Ppp6c欠損ケラチノサイトにおいて、IkBαのリン酸化/分解が増強され、その下流のp65/relAのリン酸化も増強された。さらに、遺伝子発現の検討を行った。DMBAを処理したPpp6c欠損皮膚においては、前炎症性サイトカイン(IL-1β、IL-6)や炎症関連遺伝子(GM-CSF、GROα、MMP-3)の発現上昇が増強されていた。これらの所見により、DMBAによって生じたTNFαおよびIL1-βにより、特にPpp6c欠損ケラチノサイトにおいて強くNF-κBが活性化され、炎症や細胞の生存の経路が亢進すること考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
conditional に、皮膚でPpp6cを欠損できるマウスを用いて、タモキシフェン投与で皮膚のPpp6cを欠損させた後、紫外線照射(312nm,0.3J/cm2,隔日,50週)を行った。紫外線の長期反復投与により、Ppp6c欠損では、変異上皮癌の発生促進傾向が認められた。また、紫外線照射後数日における影響を、照射後数日間で解剖して調べた。Ppp6c欠損皮膚においては、正常皮膚に比べて、DNAの修復異常による細胞死が著しく亢進していることとが分かった。 我々は、2重変異マウスで、PP6欠損がK-ras変異による腫瘍発生を促進することを示唆するプレリミナリーな結果を得た。プレリミナリーな段階ではあるが、K-ras変異のみでは腫瘍発生がない時期で、2重変異を持つマウスでは、口唇、指、肛門等で顕著な腫瘍発生が認められた
|
Strategy for Future Research Activity |
Ppp6c欠損皮膚における、NFκBシグナルの増強のメカニズム解明のため、PP6の基質を解明する。 Ppp6c欠損における、紫外線発がんの亢における、DNA修復異常のメカニズムを明らかにする。 腫瘍発生における、Ppp6cの欠損、がん遺伝子の相乗効果について、その詳細を検討する。
|
Research Products
(5 results)
-
-
[Journal Article] Minimal impact of postmastectomy radiation therapy on locoregional recurrence for breast cancer patients with 1 to 3 positive lymph nodes in the modern treatment era2017
Author(s)
Minoru Miyashita, Hiroshi Tada, Akihiko Suzuki, Gou Watanabe, Hisashi Hirakawa, Masakazu Amari, Yoichiro Kakugawa, Masaaki Kawai, Akihiko Furuta, Kaoru Sato, Ryuichi Yoshida, Akiko Ebata, Hironobu Sasano, Keiichi Jingu, Noriaki Ohuchi, Takanori Ishida
-
Journal Title
Surgical Oncology
Volume: 26(2)
Pages: 163-170
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-