2015 Fiscal Year Research-status Report
Diamine Oxidase(DAO)の遺伝子多型と化学療法の消化管毒性
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15K10102
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
武田 茂 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (50403671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉野 茂文 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (60294633)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 食道癌 / 化学療法 / 消化管毒性 / DAO活性 / 遺伝子多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん化学療法においては、様々な薬物代謝または薬物レセプターの発現に関与する遺伝的要因が関連し、その有効性や有害事象に個人差を認める。この個人差は遺伝子多型が関連することが知られており様々な研究が行われている。DAO活性にも遺伝子多型があることがわかっており、喘息や薬剤アレルギー、パーキンソン病などとの関連性について報告されている。 DAOの遺伝子多型ではG458T、C47T、C995T、C4106Gが知られているが、このうち試料のあったC47T (Thr16Met : rs10156191) C4105G (His645Asp : rs1049793)のSNPを測定した。 対象は化学療法を行った食道癌患者57例とした。化学療法はCDDP+5Fuを行い、投与前の検体におけるDAOのSNPの検討を行った。Thr16Met(rs10156191)はC/Cが48例(84.2%)、C/Tが10例(15.8%)であった。His645Asp(rs1049793)はC/Cが10例(17.5%)C/Gが20例(35.1%)G/Gが28例であった。DAO活性Thr16Met のC/Cが4.3、C/Tが4.9で、His645AspはC/Cが3.91、C/Gが4.78、G/Gが4.65でSNPとDAO活性の関連性についてはあきらかな差は認めなかった。消化管毒性を認めた症例は29例でThr16MetのC/Tが8/10例、His645AspのC/Gが15/19例で消化管毒性を高頻度に認めていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
DAOの遺伝子多型の検討の結果、症例数は少ないがThr16MetとHis645AspのSNPにおいて消化管毒性発現との関連性が示唆された。検討した症例が少なかったため今後症例数を増やして再検討を行う必要がある。またDAO活性との関連は明らかでなかったため、他のSNPについての検討を行うことを考慮している。
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Strategy for Future Research Activity |
DAOのSNPの測定を継続して引き続き消化管毒性との関連性について検討を行う。 また、食道癌化学療法における補助療法の確立のために、DAO遺伝子多型とグルタミンによる消化管毒性抑制作用の関連について検討を行う。食道癌症例で5-FU,シスプラチンを含んだレジメンの治療を行う患者を対象として、FP療法の1週間前からグルタミン製剤の投与を開始し化学療法が終了するまでの2週間の間グルタミン製剤の投与を行う。 消化管毒性の発現の有無とDAO遺伝子多型について解析しグルタミン製剤の効果との関連性を検討する。
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Causes of Carryover |
遺伝子多型の測定試料や消耗品について既存品を用いて実験を行った事と、予定より測定検体が少なかったため試料代が見積もりより少なく次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遺伝子多型の測定を行うため試料(ELISAキット、DNA分離試薬など)やDAO活性の測定費用などに使用する予定である。
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