2016 Fiscal Year Research-status Report
肝虚血再灌流障害におけるGalectin-9の役割の解明
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15K10177
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Research Institution | The Tazuke Kofukai |
Principal Investigator |
内田 洋一朗 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第1研究部, 主任研究員 (30597745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡島 英明 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20308604)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Galectin-9 / クッパー細胞 / 肝虚血再灌流障害 / Tim-3 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、肝虚血再灌流障害におけるGalectin-9発現の経時的変化および外因性Galectin-9(リコンビナント製剤)投与の有効性に関する研究成果を報告するに至った(Liver Transplantation)。 今年度は虚血再灌流刺激に伴う細胞レベルでのシグナル発現状況を主として検討した。野生型およびGalectin-9ノックアウト(KO)マウスに70%の部分肝虚血を90分加え、再灌流後1時間6時間後にCD4/CD8陽性T細胞上に発現するTim-1/Tim-3をflow cytometryにて解析した。再灌流後6時間において野生型に比べGalectin-9 KOマウスにおいて有意にTim-3陽性CD4陽性T細胞の増加を認めた。一方で、脾臓内においては再灌流後1時間6時間ともにTim-3陽性CD4陽性T細胞が増加しており、肝虚血再灌流障害においては、Tim-3陽性CD4陽性T細胞数の増加つまり活性化が起こり、Galectin-9の欠損によりその活性化が強くなることから、Tim-3陽性CD4陽性T細胞が障害増悪に寄与し、Galectin-9が障害に対して抑制的に働くことを証明できた。一方で、T細胞上のTim-1分子においては、CD4およびCD8共に末梢血中では増加を認めなかったが、再灌流後6時間で野生型に比べGalectin-9 KOマウスにおいてCD4・CD8陽性T細胞の両者におけるTim-1の発現増加を認めた。 次に、野生型マウス肝臓をコラゲナーゼ処理し肝組織中のクッパー細胞を採取しin vitroにてLPS刺激した所、細胞免疫染色でGalectin-9を発現していることが確認でき、クッパー細胞が刺激によりGalectin-9を産生する能力を有することが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
野生型、Galectin-9 KOマウスを用いた肝虚血再灌流障害におけるT細胞上の発現マーカーを詳細に検討できたこと、また肝組織常在性マクロファージ(クッパー細胞)が刺激によりGalectin-9産生能を有していることが分かったため、次年度の研究に繋がる結果が得られた。vitro実験に予想以上に時間を費やしたために、vivo実験を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
Tim-3変異マウスの使用が可能(繁殖ペースの安定化)となったため、Tim-3変異マウスおよびTLR-4 KOマウスにおいて肝虚血再灌流刺激を加え、野生型ならびにGalectin-9 KOマウスにおける障害の程度を比較検討する。さらに、Tim-3変異マウス、TLR-4 KOマウスにリコンビナントGalectin-9、Tim-3・Galectin-9抗体を投与し障害がどのように変化するかを評価する。得られた知見をもとに、vitroでの検証を行う。Tim-3、Galectin-9、TLR-4 KOマウスの脾臓よりT細胞、肝組織よりクッパー細胞を採取し、Concanavalin AあるいはLPSで刺激し、Galectin-9投与によるサイトカインプロファイリングの変動、表面マーカーの変化の解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
FACS解析における条件調整などに時間を要し、vivo実験(動物モデル作成)が十分に行えなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
動物モデルから得られた血液および組織サンプルを用いての各種アッセイを行うために必要なキット・抗体などの購入、モデル作成時に投与するリコンビナント製剤や抗体の購入などに使用する予定である。
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