2015 Fiscal Year Research-status Report
胆道発癌過程におけるセネセンス関連microRNA発現の解析
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15K10186
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高畑 俊一 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50437779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 隆生 九州大学, 大学病院, 講師 (20372766)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 胆道癌 / セネセンス / マイクロRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
膵胆管合流異常や高位合流が画像上確認できない潜在的膵液胆管内逆流(Occult pancreatico- biliary reflux; OPR)も胆道悪性疾患の危険因子となりうることが指摘されており、OPRを含む膵液胆管逆流に注目し、手術時、ERCP時に採取した胆汁の解析をおこなった。2000年1月から2015年12月までに当科で胆嚢腫瘍が疑われ、術前・術中に胆汁内アミラーゼ値を測定し、手術を行った60例を対象とし、胆汁内アミラーゼ値と切除後病理標本の対比を行った。膵胆管合流異常を 16例、高位合流 を10例、正常解剖群34例のうちOPRを25例で認めた。28例が胆嚢癌、32例が良性病変であり、胆嚢癌28例全例で膵液胆管逆流を認め、OPRのない正常解剖群9例では胆嚢癌を認めなかった。すなわち正常乳頭解剖でも胆汁アミラーゼ値が高値である場合には、OPRが存在する可能性があり、胆嚢癌リスクが高いことが明らかとなった。この採取された胆汁内miRNAと切除標本のmiRNAを測定し、セネセンスマーカーとして有望なmiRNAの同定を現在行っている。これまでmiRNA-155が胆嚢癌の悪性度に関与していることは報告したが、セネセンスとの関連は明らかではない。また膵癌ではmiRNA-5100がPODXLを制御していることを明らかにしており、さらにこれを胆嚢癌におけるセネセンスとの関連を調べていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
合流異常を原因とする胆嚢癌発症と悪性度に関する研究に必要な胆嚢癌切除標本と胆汁サンプルが確保できていることが確認できた。一方、胆嚢癌切除標本のmiRNA抽出は行えたが、胆汁中のmiRNA抽出が上手く行えていない。したがってセネセンスに関するmiRNAの同定に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
切除標本パラフィン切片の確保と臨床病理学的情報は既に得ており、今後は免疫染色でセネセンスマーカーとして認知されているSA-β-GAL, p16, p15, Dec1, DcR2の免疫染色を行う。さらに胆汁中のmRNAを測定する。またmiRNAとしてはmiR-15b, miR-20a, miR-23a, miR-24, miR-25, miR-26a, miR-28, miR-29, miR-30, miR-34, miR-106b, miR-128, miR-141, miR-146a,b, miR-155, miR-182a, miR-183, miR-505, miR-519a-c, miR-885-5pに注目して定量を行う。またこれらのmiRNAは胆汁中のものも定量化し、診断に有用であるかどうかの検証を行う。
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Causes of Carryover |
下記のように腫瘍装置は当該研究室に設置されているが、消耗品や出張費が必要となるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の遂行に必要な主要装置(共焦点レーザー顕微鏡、フローサイトメーター、in vivo蛍光イメージャー、リアルタイムPCR, 蛍光顕微鏡、遺伝子導入装置、セルソーター、バイオアナライザー、ナノドロップ、FACS機器等)は既に研究室内に設置されている。この他の機器(透過型電子顕微鏡、DNAシークエンサー等)については学内の研究支援センターにおいて利用可能であり、研究の遂行に支障はない。この為研究経費において新たな設備備品の購入は不要である。他に実験に必要なガラス機器(5万)、試薬・抗癌剤(30万)、細胞株を用いた実験に必要なキット類(抗体10万、プラスミド20万、Western blotキット30万、アポトーシス解析キット30万)等の消耗品が経費となる。これまでの本代表研究者の状況から判断して、研究最終年に国内学会(4回/年を予定)、国際学会(1-2回/年を予定)など旅費として全経費の10%以内(25万)、さらに人件費・謝金に10万を予定、欧米誌への学術論文投稿・掲載料を年1-2論文として10万円計上した。
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Research Products
(4 results)