2016 Fiscal Year Research-status Report
重症心不全のreverse remodelingの特異的バイオマーカーの探索
Project/Area Number |
15K10213
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
仲村 輝也 国際医療福祉大学, 大学病院, 教授 (90511626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 高義 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (60437316)
吉川 泰司 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (40570594)
宮川 繁 大阪大学, 医学系研究科, 特任教授(常勤) (70544237)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 心不全 / リモデリング / バイオマーカー / 補助人工心臓 / メタボローム解析 / メタボロミックス / 拡張型心筋症 / Reverse remodeling |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では補助人工心臓治療(LVAD)を必要とする重症心不全患者の病態および新たな治療法の解明のため、LVAD装着後にみられる心機能回復(Reverse Remodeling)のバイオマーカーを同定する事を目的とした。大阪大学倫理委員会にて臨床研究の承認を得て研究を開始した。健康人ボランティア(n=2)および補助人工心臓植込みの必要な拡張型心筋症(DCM)患者(n=4)の同意を取得後、1)術前、2)術後2週間目、3)術後4週間目に採血を行い、EDTA処理にて採取した血漿をHMT社へ送りCE-TOFMS法、LC-TOFMS法によるメタボローム解析を行った。以下の3項目、すなわち 1)健康人と心不全患者の比較により、心不全患者に特有の心不全マーカーを同定する 2)LVAD装着術前後の比較により、心負荷軽減で現れるマーカー 3)Reverse Remodeling陽性症例と陰性症例の比較により、Reverse Remodelingを特徴づけるマーカー について検討を行った。 これまでに明らかになった結果は以下の通り。 1)DCM患者においては健康人と比べてTCA cycleやβ酸化の中間物質が健康人より高値であり、エネルギー代謝の障害があることが示唆された。また、それら代謝産物はLVAD装着術により速やかに健康人と同等まで低下した。 2)組織線維化を示すコラーゲンの構成物質である5-Hydroxylysine、Hydroxyprolineは拡張型心筋症患者において高値であり、LVAD後も改善しなかった事から、reverse remodelingによりこれらの受ける影響は大きくない事が示唆された。 3)興味深い事に、副腎や性腺で産生される男性ホルモンであるDehydroisoandrosterone 3-sulfate(DHEAS)は患者において低値であり、LVAD後も改善しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究から、心不全患者においてはエネルギー代謝に関わるマーカーの変動が術前後に見られる事、またコラーゲンや性ホルモン代謝産物などの異常が見られる事など、これまでに報告されていない非常に興味深い結果が明らかとなった。これら研究成果を本年度の第81回日本循環器学会学術集会(2017年3月17日-19日)において発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今回明らかとなったエネルギー代謝におけるマーカーは重症心不全患者の心負荷により変動する新たなマーカーとして注目すべきであり、今後の研究では症例を増やすとともに、臨床データの変化と照らし合わせて、これら特徴的なマーカーの変動をさらに詳細に解析していく。次年度は研究の最終年であり、得られた研究成果を次年度の日本循環器学会で発表し、また論文発表を行う予定である。
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