2016 Fiscal Year Research-status Report
悪性胸膜中皮腫におけるメタボローム解析~新たなバイオマーカーの創出
Project/Area Number |
15K10281
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
垣花 昌俊 東京医科大学, 医学部, 講師 (90366112)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂村 眞琴 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (10201584)
杉本 昌弘 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任准教授 (30458963)
前田 純一 東京医科大学, 医学部, 助教 (50408176)
池田 徳彦 東京医科大学, 医学部, 教授 (70246205)
梶原 直央 東京医科大学, 医学部, 教授 (70343514)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 解糖系 / メタボローム / 嫌気性代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
中皮腫症例から唾液・血液・胸水・組織を採取し、同時に臨床情報の収集を行う予定であるが、中皮腫症例数が現在6例にとどまっているため、引き続き検体採取に努めていく。肺癌による胸水貯留患者と中皮腫症例での胸水検体によるメタボローム解析の相違を検討するべく検体採取を開始した。また、健常者および良性肺腫瘍・転移性腫瘍・呼吸器炎症性疾患などの患者からも協力を得て、唾液・血液の採取を進め、現在までに90検体分の血液および唾液を採取、研究分担者の杉本、曽我は、メタボローム解析を行っている。腫瘍組織特異的に中心的役割を演じる蛋白を同定には至っていないが、悪性腫瘍において解糖系の亢進、およびTCA回路での代謝系蛋白発現の低下をみとめており、それらを制御するsiRNA を作製している。また、肺癌切除症例の癌組織のメタボローム解析から、アミノ酸制御および嫌気性代謝と発がん性との関連が示唆された。アミノ酸、グルコース、ATP などのエネルギー代謝の中心的役割を担うmTOR の活性制御に注目し研究を展開することとした。そこで、mTOR を介した栄養環境感知シグナルの造血幹細胞の機能維持を検討することにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肺悪性腫瘍症例数は定性的に存在しており、問題は無いのだが、悪性胸膜中皮腫は稀な疾患であるため症例数の確保ができていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、中皮腫症例からの唾液、血液、胸水、および腫瘍組織の採取に努める。 肺癌症例の胸水、および唾液、血液の採取を進め、中皮腫症例と解析結果の比較検討をおこなう。 非呼吸器疾患患者、および非担癌患者からの血液、唾液採取は100例に達し次第、全症例解析にとりかかる。CE-TOFMS(キャピラリー電気泳動・飛行時間型質量分析装置)を用いて、解糖系に代表される炭素代謝や核酸合成,アミノ酸の生合成・分解に関与する代謝物群など,エネルギー代謝に関連する主要な代謝物に着目し、これらが悪性腫瘍細胞の生存・増殖を支持する分子機構を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
症例数を当初3年間で300例と設定したが、現在のところ10例にとどまっている。初年度、胸水発現患者症例100例に対して、90万円の消耗品費を最低額として見積もり、次年度はさらに症例数が増加すると見込み、消耗品費を140万円と設定したところより、余剰金が発生している。悪性症例の登録は遅滞しているが、対象とする正常検体(血液、唾液)は90例近く登録し、質量解析を順次行っている。肺癌切除症例における組織検体の解析を行い発がん過程の検索を行うことで、進捗の遅れと過度の使用額発生をカバーしている。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
下記の2 点は、当初の計画には含まれていなかったが、研究の進捗、結果を踏まえて新たに追加し、マイクロアレイ、免疫組織学的染色、蛋白泳動等に1,500,000円の計上をする。 「1.mTOR 活性化シグナルと造血幹細胞」 肺癌切除症例の癌組織のメタボローム解析から、アミノ酸制御および嫌気性代謝と発がん性との関連が示唆された。アミノ酸、グルコース、ATP などのエネルギー代謝の中心的役割を担うmTOR を介した栄養環境感知シグナルを検討することにした。「2.肺悪性腫瘍進展制御と幹細胞性」 当初研究計画では、主に、中皮腫組織および中皮腫による胸水中よりバイオマーカー特定とその制御メカニズムの解明を目指し研究を計画していたが、がん幹細胞の動態制御は、悪性化進展過程で変化しうるという予測を新たに設け、肺癌の進行により発生する胸水を検索、がん幹細胞制御メカニズムの解明を進める。
|