2016 Fiscal Year Research-status Report
microRNAを標的とした新たな脳虚血の病態解明と治療法の開発
Project/Area Number |
15K10296
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
木内 博之 山梨大学, 総合研究部, 教授 (30241623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 秀幸 山梨大学, 総合研究部, 助教 (20402076)
若井 卓馬 山梨大学, 総合研究部, 医学研究員 (30456446)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 虚血性神経細胞障害 / 虚血耐性 / microRNA / 脳梗塞 |
Outline of Annual Research Achievements |
microRNA(miRNA)は蛋白質をコードしない小型一本鎖RNAである。線虫での発見後、検出技術の進歩に伴い解析が進み、このmiRNAが標的mRNAの翻訳の中断あるいは遺伝子自体の分解を介し、発生分化や恒常性の維持などの生命現象のみならず、様々な疾患に関与する遺伝子発現を制御していることが明らかとなってきた。脳虚血における神経細胞障害機序においてもmiRNAが重要な役割を担う可能性が指摘されているもののいまだ詳細な機構は解明されていない。また、内因性の強力な細胞保護機構である虚血耐性現象においてもmiRNAを介した遺伝子修飾の役割が予想されている。 近年、miR-132は、遺伝子転写を抑制するmethyl CpG binding protein 2(MeCP2)の発現を制御し、神経保護効果を示すことが報告されている。また、miR-184は短時間の痙攣で誘導される耐性現象において重要な役割を果たすことが解明されている。 本年度は、PC12培養細胞に対し低酸素低グルコース条件(OGD)を負荷する実験を行い、疑似虚血性傷害および耐性獲得現象におけるmiRNAの発現変化を細胞レベルで検討した。具体的には、致死的傷害群では15時間のOGDを、耐性獲得群では非致死的な6時間のOGDの24時間後に15時間のOGDを負荷した。本条件下での耐性獲得群では、致死的傷害群に比べ約30%の細胞保護効果が認められた。これらの細胞から得られたサンプルを使用し、上記miR-132とmiR-184の発現変化を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PC12培養細胞での実験を進めているが、miRNA発現の解析がやや遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
PC12細胞を用いたmiRNA解析を継続して進めていく。発現解析が終了後には、その阻害実験なども検討する。
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Causes of Carryover |
現在、PC12細胞を用いて疑似虚血条件下でのmiRNA発現変化を解析しているが、解析に必要な試薬などの消耗品の経費が当初より少額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度に使用する予定だった試薬などの消耗品の経費に用いる予定である。
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