2016 Fiscal Year Research-status Report
家族性脳動脈瘤の網羅的ゲノム解析法による感受性遺伝子の同定
Project/Area Number |
15K10316
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
糟谷 英俊 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (50169455)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広田 健吾 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (10532690) [Withdrawn]
藤田 俊之 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (40718095) [Withdrawn]
恩田 英明 東京女子医科大学, 医学部, 非常勤講師 (60185692)
赤川 浩之 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (60398807)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 脳動脈瘤 / 感受性遺伝子 / 次世代シーケンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)は、脳動脈瘤を高率に合併する遺伝性疾患で、PKD1遺伝子(16p13.3)とPKD2遺伝子(4q21) の2つの原因遺伝子が同定されている。家族性脳動脈瘤患者においてADPKD遺伝子が、どの程度脳動脈瘤発症に寄与するか検討することを目的とした。遺伝性腎疾患のない家族性脳動脈瘤患者150例と脳動脈瘤と遺伝性腎疾患がなく、年齢と性別を患者群とマッチさせた対照群150例を対象に、次世代シーケンサーを用いてADPKD遺伝子のターゲットリシーケンスを行った。解析の対象とするレアバリアントは、1000人ゲノムプロジェクトのデータベースと対照群150例におけるマイナーアレル頻度が0.5%以下のものと定義した。検出されたバリアントと脳動脈瘤との関連についてweighted-sum statistic (WSS) とsequence kernel association test (SKAT)の2つの統計手法を用いて検定を行った。ADPKD遺伝子のターゲットリシーケンスの結果、患者群で33人に26個、対照群では20人に21個の候補レアバリアントが検出された。検出された候補レアバリアントは、PKD2遺伝子のナンセンスバリアント (p.Q924X)の1個を除いてすべてミスセンスバリアントであり、2つの統計解析法において再現性をもって脳動脈瘤との関連を認めた。関連するレアバリアントは、PKD1遺伝子の細胞外ドメインに多く集積する傾向も認めた。PKD1遺伝子産物のポリシスチン1は、血管平滑筋細胞にも発現しており、細胞間接着にも関与している。PKD1遺伝子の細胞外ドメイン上のバリアントはポリシスチン1の安定性を変化させるとの報告があり、これにより血管壁の脆弱性が惹起され脳動脈瘤形成に関与しているのではないかと考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①PKD1 PKD2の候補遺伝子の研究は終了し論文とすることができた。②現在、脳動脈瘤多発家系1家系について、全エクソーム解析に加えSNPアレイによる全ゲノムジェノタイピングを行い、連鎖の情報を利用して候補遺伝子変異のバリデーションを引き続き行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまで、脳動脈瘤においてレアバリアントとの関連を示す報告はほとんどされていないため、今回の1家系において見つかった候補遺伝子変異を、患者対象関連解析を行う予定としている。
|