2015 Fiscal Year Research-status Report
iPS技術を用いた明細胞肉腫起源細胞の解析と、分子標的治療の研究
Project/Area Number |
15K10437
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大野 貴敏 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (60281052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 治彦 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60402830)
永野 昭仁 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (60422721)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 明細胞肉腫 / EWS/ATF1 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究実績の概要】 本年度は明細胞肉腫モデルマウスに発生したEWS/ATF1誘導性肉腫細胞G1297 (Yamada. et.al, JCI 2013)を使用して,がん細胞のiPS細胞化と分化誘導実験を中心に行った。G1297にOCT3/4, SOX2, KLF4,cMYCの山中4因子をレトロウィルスベクターで導入してiPS細胞を作製した。iPS細胞誘導効率は低かったものの,複数クローンの肉腫由来iPS細胞を樹立した。遺伝子核型解析およびエクソームシークエンスによって,肉腫由来iPS細胞にはがん遺伝子異常及び染色体異常が引き継がれていることを確認した。樹立した肉腫iPS細胞は免疫不全マウスへの皮下移植により奇形腫を形成した。また,胚盤胞へのインジェクションによってキメラマウスが産まれた。キメラマウスの全身臓器の免疫染色によって,肉腫iPS細胞が全身の臓器に分化していることを確認した。これらの実験から,肉腫由来iPS細胞が分化多能性を有することが証明できた。 G1297はドキシサイクリン(Dox)依存性にがん遺伝子EWS/ATF1を発現する特徴を持つ。キメラマウスにDoxを投与したところ,短期間のEWS/ATF1発現によって再び肉腫を形成した。キメラマウス体内のあらゆる臓器にEWS/ATF1発現が認められたものの,肉腫は明細胞肉腫の好発部位である皮下及び筋膜周囲に特異的に発生しており,その他の臓器では明らかな腫瘍形成を認めなかった。本結果から,発がんは“がん遺伝子EWS/ATF1”,”がん遺伝子異常”に加えて,”特異的細胞種”が重要であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験結果には再現性が認められており,予定した十分なデータがそろっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究から,発がんにおける特異的細胞種の重要性が浮かび上がった。CreシステムやCreERTシステムを利用して,細胞種特異的にEWS/ATF1を発現するマウスモデルを作製し,明細胞肉腫の起源細胞を同定することを試みる。ヒト明細胞肉腫細胞株においても同定した起源細胞の特徴を有するかを確認する。
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Causes of Carryover |
次年度以降に必要となると見込まれる、マイクロアレイ、次世代シークエンスおよびマウス作製に研究費を充てるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マイクロアレイ、次世代シークエンスおよびマウス作製に費用。
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Research Products
(1 results)