2015 Fiscal Year Research-status Report
骨系統疾患モデルマウス候補Lbrトラップマウスの表現型解析
Project/Area Number |
15K10485
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
舩元 太郎 宮崎大学, 医学部, 助教 (20404452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
帖佐 悦男 宮崎大学, 医学部, 教授 (00236837)
黒木 修司 宮崎大学, 医学部, 医員 (40418843)
関本 朝久 宮崎大学, 医学部, 講師 (60305000)
荒木 正健 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 准教授 (80271609)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Lbr / 骨代謝 / 軟骨代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
Lamin B receptor(Lbr)の発現解析を行った。野生型マウスの骨軟骨組織標本にて抗Lbr抗体の免疫染色を行ったところ骨芽細胞、軟骨細胞、骨髄細胞、脂肪細胞の核にLbrの発現を認めた。また、骨組織からmRNAを抽出しRT-PCRにて発現解析を行ったところ、ホモマウスではLbr遺伝子の発現欠損を認めた。 骨組織からmRNAを抽出し、逆転写後骨軟骨代謝関連遺伝子の発現解析を行った。ホモマウスでは骨芽細胞機能に重要なBMP2, Runx2, Osterix, Col1a1, ALP, Osteocalcinの発現レベルが有意に低下していた。ヘテロマウスでは有意な差を認めなかった。一方Col2a1, TRAP, NFATc1についてはヘテロマウス、ホモマウスともに有意な差は認めず軟骨形成、骨吸収の異常よりも骨形成低下が示唆された。 P4マウス頭蓋骨から骨芽細胞を分離培養した。3Wから6W培養を行ったが、野生型由来培養細胞とホモマウス由来培養細胞で増殖に明らかな差は認められなかった。また、ALP染色、アリザリンレッド染色を施行したが、いずれも明らかな差は認められなかった。破骨細胞の培養については骨芽細胞との共培養系の確立を目指した。培養した骨芽細胞と8W齢マウスの骨髄細胞で共培養を行ったところ、TRAP陽性多核細胞が観察された。 骨軟骨組織の組織標本を作製した。ホモマウスの成長板軟骨細胞(増殖細胞)では 核周囲のエオジン好性領域が野生型より少なかった。さらに肥大軟骨細胞層から石灰化層にかけてホモマウスの方が厚かった。I型コラーゲンの免疫染色を行ったところ、ホモマウスの骨組織ではシグナルが低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Lbrトラップマウスは体格が小さく骨強度の低下も認める。我々の実験でもLbrは多くの細胞で発現しているが、今年度の研究においてコラーゲン等骨基質タンパクや骨芽細胞分化に重要なRunx2やOsterixの発現低下を認め、骨芽細胞の機能低下が示唆された。LBR遺伝子異常が原因とされるGreenberg骨異形成症では四肢短縮型のanomalyを呈すため、成長軟骨の障害が予想される。Lbrトラップホモマウスでは組織像での骨端線の観察において軟骨細胞内での軟骨基質産生が低下している可能性が示唆された。一方II型コラーゲンのmRNA発現では有意な変化はみられない点には注目している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究結果からLbr遺伝子は骨芽細胞の骨形成に影響を与えている可能性が高いと考える。組織標本を作製し各種染色法にて骨形成、骨芽細胞機能の解析をさらに進める。軟骨基質産生については低下している可能性が示唆されmRNA発現解析では相反する結果たため、免疫染色などで軟骨基質、軟骨細胞の分化を評価する予定である。 またマウス個体の解析では2次的影響の可能性があるため、培養骨芽細胞を使って解析を進め、in vivoと同様の骨基質産生低下がみられるか検討を行う予定である。 また、網羅的な遺伝子機能解析のためマイクロアレイ検査も行う予定である。
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Causes of Carryover |
予算に計上していた人件費・謝金が発生しなかったため。また、学会等の参加に伴う旅費についても科研費とは別の予算から支出したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の物品費に合算して使用予定である。マイクロアレイ検査に使用予定である。
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