2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K10507
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
石山 忠彦 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (90293448)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 低酸素 / 脳虚血 / セボフルラン / プロポフォール |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の研究目的は、「セボフルラン麻酔またはプロポロール麻酔下で低酸素にして正常換気、過換気、低換気での脳傷害の程度を研究する。」であった。脳傷害についての研究をアメリカの大学で研究して帰国した研究者より、脳傷害の研究はウサギよりマウスの方が容易との助言があったことから、本研究ではマウスを用いることとした。一部の脳組織(海馬や大脳皮質など)は虚血低酸素に対する抵抗性が低いことが知られており、短時間の虚血低酸素暴露後、1-2日では組織学的に異常を認めないが、数日以降経過してアポトーシスが生じる現象が知られており、遅発性神経細胞死と呼ばれている。本研究では、脳障害の程度は海馬CA1領域の組織を検討することで行う事とした。低酸素はPaO2 = 40 mmHgで15分間としていたことから、低酸素暴露は、吸入酸素濃度10%で15分間とした。しかし、この低酸素暴露では、セボフルラン麻酔、プロポロール麻酔ともに海馬CA1領域に傷害は認められなかった。どの程度の低酸素暴露なら海馬CA1領域に傷害は認められるのかを検討したが、吸入酸素濃度が8%以下になると、低酸素状態に耐え切れず死亡するマウスが多数認められるようになった。そこで、低酸素暴露は、吸入酸素濃度8%で、期間は15分間とした。しかし、この低酸素暴露においても、セボフルラン麻酔、プロポロール麻酔ともに海馬CA1領域に傷害は認められなかった。そこで、左総頸動脈閉塞による脳虚血を加えることにより、セボフルラン麻酔、プロポロール麻酔ともに海馬CA1領域に傷害を認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度の研究目的は、「セボフルラン麻酔またはプロポロール麻酔下で低酸素にして正常換気、過換気、低換気での脳傷害の程度を研究する。」であった。低酸素暴露について、吸入酸素濃度をどの程度にするのかや、低酸素だけでは脳傷害が認められなかったことから、研究の方向性をどうするのか等に時間がかかり、過換気、低換気での検討が行われていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
左総頸動脈閉塞による脳虚血と低酸素暴露に伴う脳傷害に対して、どのような薬剤が神経保護作用を持つかを検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度の研究目的は、「セボフルラン麻酔またはプロポロール麻酔下で低酸素にして正常換気、過換気、低換気での脳傷害の程度を研究する。」であった。低酸素暴露について、吸入酸素濃度をどの程度にするのかや、低酸素だけでは脳傷害が認められなかったことから、研究の方向性をどうするのか等に時間がかかり、研究遂行に時間がかかったため、研究成果の報告を学会等でできなかったため、旅費が必要とならなかった。また、脳標本の摘出も数が少なかったため、物品費が当初の予定よりかからなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の方向性が決まったため、今年度は結果発表のための旅費や、脳標本の検索等に使用する予定である。
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