2016 Fiscal Year Research-status Report
高齢者敗血症におけるマクロファージの機能障害の機序解明と治療への応用
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15K10523
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
渡邊 伸央 東海大学, 医学部, 特定研究員 (80396928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 茂亮 東海大学, 医学部, 准教授 (30582209)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 炎症 / 抗原提示 / ハイスループットスクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
B細胞やT細胞によって担われる獲得免疫系は、マクロファージが貪食した細菌由来のペプチドがMHCクラスII上に提示されて活性化される。これまでの研究により、敗血症の亜急性期にはマクロファージがM2型に傾き、これがMHC上へのペプチドの提示を低下させ、獲得免疫系が活性化できないため2次感染のリスクを高めている可能性が示された。そこで、敗血症患者の獲得免疫活性化を目指し、MHCクラスII上への抗原提示能力を促進する化合物のハイスループット・スクリーニング系の構築に着手した。 健常人からMHCのα鎖をコードするDRAならびにβ鎖をコードするDRB1の4種(0101, 0405, 0901, 1501)の遺伝子をクローニングし、発現ベクターを作成した。非抗原提示細胞において強制発現させたMHCに抗原提示能があるかどうか調べるため、DRAといずれかのDRB1をHEK293細胞に導入して発現させた。これらの細胞と、DRに結合することが知られている抗原ペプチドであるMBP83-99 (多発性硬化症のミエリン塩基性タンパク質)をモデル抗原として結合能を調べた。細胞とビオチン化したMBP83-99 をインキュベートし、細胞表面のMHCへの結合をフローサイトメーター(FACS)によって測定した。その結果、MHCはDRAとDRB1の両方を発現させた場合にのみ、細胞表面に発現し、MBP83-99と結合した。これより我々の発現ベクターによるα鎖β鎖の共発現は、抗原提示能を有するMHC発現に至ることが示された。そこで、レンチウイルスベクターと3T3マウス繊維芽細胞を用いてこれらのMHCの安定発現細胞の樹立を行った。得られたHLA安定発現細胞もHEK293T細胞と同様に抗原ペプチドとの結合を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り遂行することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
マクロファージのMHCクラスII上への抗原提示を促進する化合物のハイスループット・スクリーニング系の完成に向け、今回樹立したMHC安定発現細胞を用いて96ウエルプレートとプレートリーダー用いたMHCとペプチドとの結合を検出する方法を検討する。
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Causes of Carryover |
今年度はマクロファージ機能補填のために、HMCクラスIIへの抗原ペプチド提示を促進する化合物スクリーニング系の構築にエフォートを移したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
HMCクラスIIへの抗原ペプチド提示を促進化合物のマウスでの評価などに別途経費を費やす予定
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