2016 Fiscal Year Research-status Report
長期予後を持つ精巣癌患者QOL維持のために、新規QOL評価法を確立
Project/Area Number |
15K10570
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 成幸 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (60509256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 陽一 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50193058)
伊藤 明宏 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (70344661)
山下 慎一 東北大学, 大学病院, 助教 (10622425)
安達 尚宣 東北大学, 大学病院, 助教 (20706303)
並木 俊一 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (40400353)
齋藤 英郎 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (00466559)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 精巣癌 / サバイバーシップ / QOL 日本語版 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちは早くから精巣癌のサバイバーシップに注目し、治療後のQOL、妊孕性、性機能、晩期合併症などを継続的に調査し報告してきた。本研究ではこれまでの研究をさらに発展させ、QOLを含む精巣癌サバイバーシップの包括的評価法を確立し、アウトカムの更なる向上に寄与することを目的としている。平成28年度は、EORTC QLQ-TC26日本語版の作成と臨床データベースの構築を行うことを実施計画内容とした。 EORTC QLQ-TC26日本語版の作成は、日本泌尿器科学会、日本泌尿器腫瘍学会の公認のもと行った。EORTC QOL Groupのマニュアルに沿って作業を行い、まず日本語暫定版を提出した。作成した暫定版を用い、10名の患者を対象として面接コミュニテイー・レビューをおこなった。その結果を踏まえ、順翻訳された日本語版を修正し、EORTC QOL Groupの承認を得て、EORTC QLQ-TC26日本語版を完成させた。成果発表として日本泌尿器科学会雑誌に投稿し、アクセプトされた。併行して、日本語版完成後の大規模調査に備えて精巣癌の臨床データベースを構築した。同研究に関して東北大学倫理委員会に申請し、承認を得た。年齢、組織型、病期、治療法などの基本的データとして、治療法・内分泌学的検査、精液検査所見などもデータベース化した。他にサバイバーシップと深く関係する、婚姻状態、挙児の有無、就業状況、生活習慣、併存症などもデータベース化した。 平成29年度は、種々の病期からなる30名の精巣癌サバイバーを対象に、作成されたEORTC QLQ-TC26日本語版を用い、信頼性と妥当性を検証する。その上で、約300名の精巣癌サバイバーを対象にQOLならびに晩期合併症の大規模調査を行う。これらの調査結果と、病期、治療法などのデータを解析し、精巣癌サバイバーシップについて包括的な評価をおこなう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究実施計画としては、日本語暫定版作成完了を予定していたが完成には至らなかった。本研究は10月21日付けの追加内定であったことから、平成27年度の実質的な研究期間は5ヶ月程度であった。平成28年度では、EORTC QLQ-TC26日本語版を完成させ、日本語版完成後の大規模調査に備えて精巣癌の臨床データベースを構築した。少数例における信頼性と妥当性の検証は来年度になったものの、その後の大規模調査を含めて来年度に行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、種々の病期からなる30名の精巣癌サバイバーを対象に、作成されたEORTC QLQ-TC26日本語版を用い、信頼性と妥当性を検証する。妥当性の検討は、因子妥当性、内的整合性、収束妥当性、判別妥当性を検証する。さらに併存妥当性の検討として、一般健康関連QOL(EORTC QLQ-C30)、性機能(IIEF-15)、心理状態(Hospita1 Anxiety and Depression)などの調査結果との相関を確認する。その上で、約300名の精巣癌サバイバーを対象にQOLならびに晩期合併症の大規模調査を行う。晩期合併症として、聴力障害、末梢神経障害、腎機能障害、メタボリック症候群、心血管系異常や二次発癌など、幅広い視点から調査をおこなう。これらの調査結果と、病期、治療法などのデータを解析し、精巣癌サバイバーシップについて包括的な評価をおこなう予定である。
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Causes of Carryover |
本研究については平成27年10月21日付けの追加内定であったことから、平成27年度の実質的な研究期間は5ヶ月程度であった。情報収集のための学会参加時期を過ぎていたこともあって、旅費としての使用ができなかった。 平成28年度ではEORTC QLQ-TC26日本語版作成の逆翻訳を外部委託し、謝金を支払った。また、研究成果を国際学会にて発表したので、旅費や学会参加費に使用した。EORTC QLQ-TC26日本語版の投稿料や臨床データベース入力作業の謝礼、アンケート配布の費用などが平成28年度で使用しなかったので、次年度使用額を生じることになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
EORTC QLQ-TC26日本語版の投稿料が今後必要。精巣癌の臨床データベースを構築するための入力作業を託した際には謝金を支払う予定である。QOL大規模調査におけるアンケート配布には印刷代・封筒代・切手代など、相当の費用が必要になる。また、QOL大規模調査の研究結果に関して、学会発表や論文作成の予定であって旅費や投稿料が必要になると考えられる。
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Research Products
(10 results)