2015 Fiscal Year Research-status Report
卵巣癌の5-アミノレブリン酸による光線力学診断と新規治療の確立
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15K10713
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
水野 美香 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫学部, 研究員 (50588837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 清住 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90335026)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 5ALA / 光線力学療法 / 卵巣癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
5-アミノレブリン酸(5ALA)を用いた光線力学療法(PDT)が予後不良である卵巣癌の治療手段の一つになることを目指し、取り組んでいる。 「ヒト卵巣癌細胞株での5ALA-PDTの殺細胞効果の確認(in vitro検証)」 細胞株SKOV-3,OV90,A2780,ES2,NOS1,NOS2,NOSから樹立したパクリタキセル耐性株(NOS1-Tr、NOS2-Tr)とシスプラチン耐性株(NOS1-Pr,NOS2-Pr),及び卵黄嚢腫瘍の細胞株NOY1,NOY2を用いた。 ①5ALAを投与し、4時間後の細胞内・外のPpIXの蛍光スペクトルの測定および発光測定を行うことによりPpIXの集積を確認した。ヒト卵巣癌細胞株全てにおいては、細胞内外での5ALA添加後のPpIXの集積濃度はいずれも濃度依存性に上昇していた。明細胞癌細胞株ES2においては、他細胞株と比べ集積の濃度は低い傾向にあった。 ②濃度及び励起光照射時間を変え、PDT後にMTS assayを行いcell viability の確認。濃度別に5ALAを添加し、635nm付近の励起光をそれぞれ0秒(非照射)と600秒で照射,24時間後の細胞生存を吸光度計で測定を行った。特にNOY1,NOY2では、非照射群は生存率の低下をみられず、照射群では5ALA濃度依存性に細胞生存率低下を認め、一定の濃度以上でほぼ0に等しく、他の細胞株より低濃度でPDTの効果がみられることが強く示唆された。 ③ 5ALA取込(PEPT1/2、TAUT、GAT2、PAT1)、排出(AGCG2,FECH)、および, 抗癌剤の排出(ABCB1,ABCC2)に関与するtransporterの細胞株でのmRNA発現を確認。特に、NOY1,NOY2において、PEPT1およびPAT1の発現高いことが確認
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト卵巣癌の化学療法耐性株と親株において、予測と反した結果がみられ、その結果の検証と再現性の確認に時間を要した。また同組織型の細胞株においても 細胞株ごとにで結果の相違がみられ、詳しく検証中。 このため、動物実験でのin vivo検証が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)癌幹細胞様の性格を持つ細胞を以下のように分離。(CD133を細胞表面幹細胞マーカーとして選択し、FACS vantage, MACS(Magnetic sorting system)を用いてNOY1、NOY2からCD133+細胞を分離し、更にSphere形成法を併用する事によって、より純度の高いがん幹細胞の性質を有する細胞を分離。)その後CD133‐細胞と、PDTの殺細胞効果の比較をする 2)in vitroの結果を踏まえ、5ALA-PDTの殺腫瘍効果を担癌ヌードマウスを用いて検証する。
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Causes of Carryover |
親株と耐性株のin vitro実験で、細胞株ごとに結果の相違、矛盾がみられ、追加実験のため、やや実験の進捗が遅れている。このため、今年度予定していた動物実験の開始が遅れていることが一つの理由である。また、結果発表や情報収取などの目的で学会への参加費を計上していたが、学会申請の日程の問題などもあり、使用されなかったため、今年度は旅費の支出が無く、余剰が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
in vitro実験の結果を踏まえ、今年度の結果の解釈を行い、in vivoでの検証を目的とした動物実験を進める。成果をまとめ結果発表を目的として積極的に学会活動に参加を予定する。
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