2015 Fiscal Year Research-status Report
母体免疫による母乳を介した免疫再構築による乳幼児期感染予防の新戦略の研究
Project/Area Number |
15K10758
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
保富 宗城 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (90336892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯浅 純 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (10725550)
池田 頼彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (20423949)
平岡 政信 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (80423945)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 母体免疫 / 肺炎球菌 / 免疫学的記憶 / 母乳栄養 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性中耳炎は、乳幼児期に頻回に罹患する感染症であり、近年の反復・遷延例など難治例の増加に伴いワクチンによる予防が注目されている。とりわけ、2歳以下の乳幼児は、未成熟な免疫能を背景に、急性中耳炎の反復・遷延化をきたしやすいことが特徴である。また、乳幼児期における急性中耳炎の罹患は、その後の急性中耳炎の反復・遷延化を決定する重要な要因となる。一方、母乳栄養は、乳幼児期における急性中耳炎の罹患率を下げることが知られており、乳幼児期における免疫応答の構築に大きくかかわる。 乳幼児期の免疫応答において母乳栄養がどのように関与するかについて、母体由来の免疫担当細胞の新生児マウス(1~7日齢)への移行と、乳幼児マウス(2~3週齢)における免疫能の構築ついて検討する。新生児マウスにおける母体由来の細胞を追跡するために、6週齢のC57BL/6-Tg(AG-EGFP)(以下、グリーンマウス)雌マウスと、C57BL/6(以下、野生型)雌マウスを使用する。PspAにて経鼻免疫したグリーンマウスの母マウスに、経鼻免疫を行っていない野生型母マウス由来の野生型仔マウスを哺乳させる。野生型仔マウスの体内におけるグリーンマウス母親由来の細胞の存在を可視化することで、母体免疫後の母乳栄養による仔マウスの免疫システムの構築を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
母体経鼻免疫後に得られた新生児マウスにおいては、抗肺炎球菌特異的免疫応答が誘導されており肺炎球菌感染予防に働くことが判明している。BALB/cマウスを用いた検討では、新生児マウスにに誘導された抗肺炎球菌特異的免疫応答は仔マウスが成熟後にも観察され、長期的な免疫学的メモリーを有することが確認された。これらの免疫学的記憶には、胎盤移行抗体のみでなく、母乳栄養が大きな影響を及ぼしていることが示唆された。しかし、BALB/cマウスでの結果を基にC57BL/6-Tg(CAG-EGFP)(以下グリーンマウス)を用い、グリーンマウス母親に野生型の仔マウスを哺乳させることで、母乳中の抗肺炎球菌特異的抗体産生細胞を検索することを試みたが、出産時期の調整や個体の調整が困難であった。また、新生児マウスの脾臓からの抗体産生細胞の取り込みの組織学的確認が出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
母体経鼻免疫後に得られた新生児マウスについて、BALB/cマウスを用いた検討では、新生児マウスにに誘導された抗肺炎球菌特異的免疫応答は仔マウスが成熟後にも観察され、長期的な免疫学的メモリーを有することが確認されている。C57BL/6-Tg(CAG-EGFP)(以下グリーンマウス)を用いた検討では、PspAの追加免疫を行なわない状態で検討を行ったためと考える。免疫学的記憶をPspAの追加免疫による抗体科の再上昇で確認した後に、脾臓からの抗体産生細胞の検出ではなく、消化管粘膜下での免疫担当細胞の取り込みにつちて検討するように工夫することで、免疫学的記憶の機序の検討を行なう計画をしている。
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Causes of Carryover |
母体経鼻免疫の実験には、母体への経鼻免疫から交配、仔マウスの出産から保育までの期間が長期間となる。また、C57BL/6-Tg(CAG-EGFP)(以下グリーンマウス)の繁殖に時間を要したとともに、脾臓での免疫組織検討で十分な成果が得られず確立されなかった。そのため、再度実験を繰り返すとともに、より正確で確実な結果を得るために、腸管での検討に計画を変更し、再実験を行なう必要性が生じたため、未使用分が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
再度、頸部母体免疫マウス由来の仔マウスを作成するとともに、脾臓のみでなく消化管での組織学的検討を行うことで、母蒸す由来の免疫担当細胞が仔マウスに存在することを検討し、未使用学は其の経費に充てることとしたい。
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