2016 Fiscal Year Research-status Report
網膜剥離に対するタンポナーデ不要の硝子体手術の開発
Project/Area Number |
15K10862
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
大路 正人 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90252650)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 修 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (00378465)
一山 悠介 滋賀医科大学, 医学部, 医員 (10749021)
藤川 正人 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (50747912)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 網膜剥離 / 硝子体手術 |
Outline of Annual Research Achievements |
網膜剥離手術時に経強膜から半導体赤外レーザー光凝固が可能であるか、調べるために、実験動物に有色ウサギのDutchを選択した。眼底観察は接触型のプリズムレンズをのせて、手術顕微鏡下で行った。 2.0kgDutch雌に筋肉内に麻酔薬を注射、両眼に散瞳薬を点眼し、散瞳させた。球結膜を切開し、強膜を露出させた。角膜上に接触型のプリズムレンズをのせ、眼底を観察しながら、経強膜に半導体赤外レーザーのプローブで圧迫し、網膜凝固を行い、レーザーの条件を検討した。強膜へのレーザープローブの圧迫が強いと眼球に穿孔したので、プリズムレンズの凸側から穿孔しない程度の強さで圧迫し、レーザープローブからの照準光を確認した。レーザー照射時間1.0秒にし、レーザーパワーを0.3wより上げて網膜レーザー痕を評価した。0.3wでは周辺部では凝固搬がうっすら確認できたが、中心に近い位置では確認できなかった。0.5wでは周辺部でも中心に近い位置でも凝固痕が適当であった。0.8w、0.9wと上げていくと凝固搬は強くなり、1.0wでは網膜が瘢痕を越して破裂した。 経強膜半導体赤外レーザー網膜光凝固後、ウサギの心臓に麻酔薬の過剰投与を行い、安楽死させ、眼球を摘出し、組織の評価を行った。眼球を摘出後、すぐにOCTコンパウンド液で周りを満たし、液体窒素に漬け、冷凍し、クリオスタットで切片を作成し、スライドグラスにはり、その後、ホルマリン固定液を点下し、固定し、その後へHE染色を行った。レーザー網膜光凝固直後では1.0wの照射部では網膜全層の破壊所見が認められたが、0.5w以下では網膜色素上皮層には一部、障害を認めたが、網膜外層には明らかな変化は認められなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたように有色家兎を用いて、波長532nmのレーザーによる眼内からの網膜凝固と波長810nmの赤外レーザーによる眼外からの強膜を通しての網膜凝固の両方の方法で凝固が可能であることを示すことができ、最適な凝固条件も確定できた。しかしながら、有色家兎を用いた網膜剥離モデルを用いた2つのレーザー凝固の有用性の検討に関しては若干予定より進捗が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
有色家兎を用いた網膜剥離モデルを作成し、同モデルにおける波長532nmの眼内レーザー凝固と波長810nmの眼外からのレーザー凝固を比較検討する。 全身麻酔下に有色家兎の水晶体切除および可能な限り徹底した硝子体切除を行った後に周辺部網膜に硝子体カッターで意図的網膜裂孔を作成し網膜剥離を作成する。ヒトの網膜剥離に対する硝子体手術と同様に行い、液体パーフルオロカーボンを用いて網膜を復位し、大部分の網膜を復位させた後に液空気置換を行い、網膜下液を可能な限り吸引除去した後に、レーザー凝固にて裂孔を閉鎖する。その際に532nmの波長のレーザーを用いて裂孔周囲を眼内から凝固する群と、810nmの波長のレーザーを用いて強膜側から裂孔周囲を照射した群を作成する。それぞれの群において適切な凝固が得られたレーザー出力などの凝固条件を記録する。強膜創を閉鎖した後に27G針を用いて硝子体腔にbalanced salt solution (BSS)を注入するとともに硝子体腔の空気をもう一つの27G針を用いて眼内に漏出させ、硝子体腔を完全にBSSに置換する。手術直後、手術翌日、1週後、1ヶ月後に眼底を観察し網膜の復位の状態を確認するとともに、硝子体混濁など炎症の状況を定量的に評価する。その後に眼球を摘出し、網膜と網膜色素上皮の接着の状況を組織学的に検討する。手術直後、あるいは手術翌日の眼底検査において、網膜復位が維持されていなければ、本方法を実臨床で患者に用いる際のことも想定し、網膜復位が得られなかったと判明した時点で眼内に100%SF6(六フッ化硫黄)1mlを注入し、手術翌日以降のガスタンポナーデにおいても網膜復位が得られるかどうかを検討する。
|
Causes of Carryover |
実験の進捗に若干の遅れが生じ、平成28年度に行う予定の実験の一部ができず、平成29年度に行うこととなった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度には当初28年度に行う予定が遅延によって29年度に延期された実験に加えて、当初から29年度に行う予定であった実験を合わせて行う予定である。そのため、28年度に繰り越された予算と29年度に予定されている予算が必要である。
|
-
[Presentation] Surgical outcomes of macular hole retinal detachment in highly myopic eyes2016
Author(s)
Masahi Kakinoki,Masanori Iwasaki, Yuki Moria, Taiji Sakamoto, Takashi Araki, Yoshihiro Takamura, Masatsugu Kojima, Kazuhiko Sugitani, Hiroki Sano, Osamu Sawada, Masahito Ohji
Organizer
第55回日本網膜硝子体学会
Place of Presentation
東京
Year and Date
2016-12-02 – 2016-12-04
-