2016 Fiscal Year Research-status Report
角膜感染症に対する光線力学的抗微生物化学療法(PACT)の開発と臨床応用
Project/Area Number |
15K10894
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
近間 泰一郎 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 准教授 (00263765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高 知愛 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 講師 (70314797)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 光線力学療法 / 抗病原微生物 / 角膜感染症 / 多剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,新規光感受性物質である水溶性カチオン性クロリン誘導体のTONS504と660nmの単波長LED光照射装置用いた光線力学的抗微生物化学療法(photodynamic antimicrobial chemotherapy: PACT)による抗病原微生物薬に頼らない新しい角膜感染症治療法の確立が究極の目的である。このTONS504-PACTの臨床応用の実現により,視機能維持,治療期間の短縮,医療費の削減にも寄与することが期待できる。 本年度は昨年度に引き続き,白色家兎角膜感染症モデルによるin vivoでのPACTの有効性の検討を行った。昨年度苦慮した感染症作成効率の安定化により,黄色ブドウ球菌感染眼に対するPACTの有効性が確認できた。 並行して行っているin vitroの研究として,PACT抵抗性とされているグラム陰性菌であるP. aeruginosaに対してTONS504-PACTの有効性と細菌増殖抑制効果はLED照射後3時間がピークとなり,そのタイミングでの追加照射が菌増殖抑制効果最大にすることを見出した。また,糸状真菌に対するPACTの効果をそれぞれの糸状真菌の胞子液を調整することで検討を可能にした。今回の検討では,TONS504-PACTは,F. solaniに有効で,キレート剤であるEDTA添加によってその効果は増強された。しかしながら,同じ糸状真菌であるA. fumigatusには効果がなく,菌種によってPACT効果が異なることがわかった。菌種毎での構造的な違いに対する検討は引き続き必要である。 白色家兎角膜感染症モデルを用いたin vivo研究は,今後ほかの菌種での効果を確認する予定である。また,in vitroの研究では,アカントアメーバに対するTONS504-PACTの効果の検討を始めたところで今後の結果に期待を寄せているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,in vivo研究である白色家兎角膜感染症モデルに対するTONS504-PACTの臨床的有効性が確認できた。ただし,黄色ブドウ球菌の結果のみであり,他の菌種についてはこれから順次行う予定である。 一方で,in vitro研究では,興味深い成果が得られており,来年度にかけてアカントアメーバに対する有効性も確認できる予定である。 当初の予定では,本年度と来年度にかけて,TONS504-PACTを行った感染症モデル角膜の組織学的検討の予定であったが,invivoモデルの確立が非常に困難であったために遅れが生じている。今後も,動物実験施設の感染区域内で一度に作成できる感染症眼には制約上上限があるため,スピードアップが困難であるが,感染効率が向上していることより遅れを挽回できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の当初の予定は,TONS504-PACTを行った感染症モデル角膜の組織学的検討の予定であったが,現在黄色ブドウ球菌感染に対する臨床的評価にとどまっている。最終年度は,他の菌種に対する臨床的評価をおこないつつ,現在収集している感染症モデル角膜の組織学的検討を始める。今後も,動物実験施設の感染区域内で一度に作成できる感染症眼には制約上上限があるため,スピードアップが困難であるが,感染効率が向上していることより遅れを挽回できると考えている。具体的には,来年度中に緑膿菌を用いた感染症モデルに対するTONS504-PACTの有効性は確認したい。 また,一方で,in vitro研究では,複数の興味深い成果が得られており,来年度にかけて糸状真菌やアカントアメーバに対する有効性の確認を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定と異なり,動物を使用する実験が今年度も継続しており,また,in vitro研究が追加されたため,必要物品や動物購入の予定と実際が前後していることによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
やや遅れている白色家兎角膜感染症モデルを用いたin vivo研究を加速し結果を出すために白色家兎の購入並びに飼育費と,組織学的検討に必要な抗体等の購入に充てる予定である。
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Research Products
(6 results)