2016 Fiscal Year Research-status Report
疾患iPS研究に基づく網膜色素変性症に対する新規神経保護治療薬の開発に向けた研究
Project/Area Number |
15K10903
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小澤 洋子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (90265885)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 網膜 / 神経保護 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
網膜色素変性症は、4000~8000人に1人で発症するとされ、遺伝子異常により生じる網膜視細胞もしくは網膜色素上皮細胞の変性であるが、そのメカニズムには不明の点が多い。現時点では、世界的にも承認された治療薬はなく、遺伝子異常がわかっていたとしても、対処法が無いという状況が続いている。徐々に進行し、国内失明原因の第3位を占める疾患である。早期に診断が付いても進行を抑制する安定した治療法はない。異常遺伝子が明らかになっても、細胞死のメカニズムが不明であるものが多いためである。そこで、申請者らはこれまでに、視物質であるロドプシン異常遺伝子を持つ網膜色素変性症患者の体細胞由来の人工多能性細胞(induced-pluripotent stem cell; iPS細胞)を用いて網膜細胞を誘導・培養し、神経保護治療法薬剤の開発に向けた病態メカニズムの解析(疾患iPS研究) を行い報告した(Yoshida, Ozawa, Okano et al. Mol. Brain 2014)。この中で本疾患におけるストレス応答反応の病態への関与を明らかにし、それを抑制する薬剤の候補を得た。 そこで本研究では、疾患iPS研究の培養において有効性があった薬剤を、網膜色素変性症モデルマウスに投与して、生体内で網膜神経細胞の保護 (細胞死抑制) 効果が得られるかを解析する。モデルマウスの表現型の解析を進み治療開始のタイミング等の情報が得られたため、保護効果を得られる条件を解析している。本研究により将来的には、網膜色素変性症のための新規進行抑制治療法の開発につなげる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
網膜色素変性症モデルマウスはほぼ順調に飼育され、その表現型は組織学的、電気生理学的等の解析により、週齢を追って示されている。モデルマウスの表現型はヘテロ遺伝子変異マウスで明らかであり、飼育が行いやすい。ただし、表現型や薬物介入の結果には性差のある可能性があり、雄のモデルマウスのみを用いることにしたため、そのためのモデルマウス入手の制限はやむを得ない。モデルマウスへの薬物投与はすでに開始済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は申請者らの先行研究である、疾患iPS研究により明らかにされた候補薬剤の一つであるラパマイシンの投与量や投与日程を振ることにより、コントロール群との効果の差を示す良い条件を探索する。効果の指標としては視機能を示す網膜電図を主に用い、必要に応じて組織学的解析も行う。また、副作用等についても配慮があり、体重等の情報も集めるようにする。そしてラパマイシンの投与量や投与経路等の条件について解析を進める。万一、ラパマイシンによる介入で効果が不充分であると考えられる場合には、先行研究により示された他の候補薬剤の使用を検討する。
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Causes of Carryover |
使用するマウスの週齢を合わせる必要があり、同時に多くの同週齢のマウスを飼育・準備するために時間調整が必要となったため、本年度使用するはずであった使用額の一部を次年度使用とすることとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
解析に用いるモデルマウスの飼育および組織解析に用いる抗体等の購入のために用いる予定である。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Novel RP1L1 Variants and Genotype-Photoreceptor Microstructural Phenotype Associations in Cohort of Japanese Patients with Occult Macular Dystrophy.2016
Author(s)
Fujinami K, Kameya S, Kikuchi S, Ueno S, Kondo M, Hayashi T, Shinoda K, Machida S, Kuniyoshi K, Kawamura Y, Akahori M, Yoshitake K, Katagiri S, Nakanishi A, Sakuramoto H, Ozawa Y, Tsubota K, Yamaki K, Mizota A, Terasaki H, Miyake Y, Iwata T, Tsunoda K.
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Journal Title
Invest Ophthalmol Vis Sci.
Volume: 57
Pages: 4837-46.
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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