2015 Fiscal Year Research-status Report
ヒト乳歯歯髄幹細胞によるヒルシュスプルング病類縁疾患に対する新規再生医療の開発
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15K10922
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉丸 耕一朗 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (60711190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 智章 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20197247)
家入 里志 鹿児島大学, 医学部, 教授 (00363359)
松浦 俊治 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10532856)
林田 真 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (70452761)
野中 和明 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (90128067)
山座 孝義 九州大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (80304814)
山座 治義 九州大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (30336151)
梶岡 俊一 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90274472)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小児消化器疾患学 |
Outline of Annual Research Achievements |
[具体的内容]歯髄幹細胞(stem cells from human exfoliated deciduous teeth, SHED)をヒルシュスプルング病類縁疾患(H類縁)モデルマウスに移植した。正常マウス・H類縁モデルマウス(コントロール群)・H類縁モデルマウス(幹細胞移植群)の3群に対し表現型評価(体重・飼料摂取量・糞便量),病理組織化学的評価(細胞の生着の有無),電気生理学的評価,栄養学的評価を行った。H類縁モデルマウスが正常マウスに比較し、有意に体重及び糞便数が少ないこと、腸管電気生理学的に収縮反応が乏しいこと、病理組織学的に神経節細胞数が少ないこと、栄養吸収能が低いことを証明した上で、幹細胞移植にてそれぞれのパラメーターの有意な改善を認めた。また、血液生化学的評価においては、肺・肝・腎における生化学的データに幹細胞移植群で異常を認めず、移植における安全性を支持するものと考えられる。 [意義・重要性]本研究成果は、難治性希少性疾患であり、現在姑息的な繰り返す手術や静脈栄養に依存し、最終的に小腸移植にならざるをえないH類縁疾患に対する新規低侵襲治療法の確立における大きな成果と判断できる。本研究成果は、H類縁のみならず、ヒルシュスプルング病にも応用が可能であると考えられる。また、幹細胞のsourceとして智歯も利用可能なため、年長児からAYA世代(Adolescent and young Adult:15~29歳)まで適応拡大が可能である。SHEDも知歯も本来不要なものであり、低年齢はSHED、学童期以降は智歯幹細胞を用いることは自家細胞移植の細胞源として経費がかからず医療経済的にも有用である。さらに、本研究で得られたSHEDの保存、培養/分化および安全性に関する知見は、再生医療の安全性確保に対する成果にもなると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究計画として掲げた項目は、臨床的評価・電気生理学的評価・病理組織学的評価・血液生化学的評価・腸管吸収能評価であった。いずれの項目とも、H類縁モデルマウスでの性質を明らかにした上で幹細胞移植群での明らかな改善を証明しえた。このため、当初の計画通りに研究を遂行できていると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究計画として掲げた内容としては、平成27年度の研究課題の症例数の蓄積及び以下の内容であった。すなわち、未分化幹細胞移植のみならず分化細胞への分化誘導後の移植である。腸管を構成する多種多様な細胞からどの細胞が腸管蠕動不全に寄与しているか、そして、当幹細胞の分化性からどの細胞への分化が期待できるかを現在吟味している。分化細胞の移植効果に関しても平成27年度に確立した手法にて検討を加える予定である。また、細胞移植方法においても種々の検討が必要である。細胞移植方法としては、注腸法や、経腸管的局所投与、内視鏡的投与等が過去の報告でも見られる。現行の移植方法にて解析を終了した後、上記の如くその他の移植方法にても解析を加える予定である。
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Causes of Carryover |
臨床的評価・電気生理学的評価・病理組織学的評価・血液生化学的評価・腸管吸収能評価を次年度に継続する必要があるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
臨床的評価・電気生理学的評価・病理組織学的評価・血液生化学的評価・腸管吸収能評価を継続し、症例数の蓄積を行う。
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