2015 Fiscal Year Research-status Report
PAX3-FOXO1陽性横紋筋肉腫に対するアルキル化PIポリアミドの抗腫瘍効果
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15K10930
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
古屋 武史 日本大学, 医学部, 助手 (20568539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉藤 公信 日本大学, 医学部, 助教 (10328750)
藤原 恭子 日本大学, 医学部, 助教 (40595708)
越永 從道 日本大学, 医学部, 教授 (70205376)
植草 省太 日本大学, 医学部, 専修医 (70746338)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 横紋筋肉腫 / 融合遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、横紋筋肉腫特異的融合遺伝子PAX3-FOXO1の融合部位を認識するPyrrole-Imidazole Polyamide(PIP)にアルキル化剤Chlorambucil(ChB)を付加したChB-PIP-1を合成し、その機能解析を行った。ペプチド合成機PMMS8を用いて、融合部位特異的なPIPを合成し、脱水縮重反応によりChBを付加後、HPLCにより精製した。HPLC及び質量分析機を用いた解析により、ChB-PIP-1が合成できていることを確認した後、Gel Shift Assayにて標的配列特異的なDNA結合能を検討したところ、ChB-PIP-1はPAX3-FOXO1の融合領域の配列に特異的に結合できることがわかった。そこで、ChB-PIP-1の培養系における抗腫瘍効果について検討を行うために、PAX3-FOXO1融合遺伝子を持つ横紋筋肉腫細胞株CRL2016、NRS-1と融合遺伝子陰性の横紋筋肉腫細胞株RMS-YMおよび肺癌細胞株NCI H460に対しChB-PIP-1を投与し、その生存率の変化をWST8アッセイにより調べた。その結果、ChB-PIP-1は予想に反し、PAX3-FOXO1の有無にかかわらず、細胞の生存率を有意に低下させた。いずれの細胞株においても0.01μM より効果を示し始め、1μMでほぼ完全に細胞を死滅させた。PIPの付加されていないChB単独では10 μM以上で効果を示し始めることから、ChB-PIP-1はChB単独と比較して100倍以上の強い殺細胞効果を示したと言える。フローサイトメトリーを用いた細胞周期解析の結果、ChB-PIP-1の投与によりG2/M フェーズにおける細胞周期の停止が生じている事が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ChB-PIP-1を計画通り合成し、純度も実験を行う上で十分であることが確認できた。また、標的DNAへの特異的な結合能があることも確認できた。培養系においては、予想と異なりPAX3-FOXO1融合遺伝子の有無に関係なく殺細胞効果を示すことが判ったが、その効果はChBと比べて非常に強力であり、新規の抗腫瘍薬として期待ができるため、今後解析していく意味があると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ChB-PIP-1は特異的DNA結合能を持つにも拘らず、PAX3-FOXO1融合遺伝子陽性細胞、陰性細胞ともに殺細胞効果を示したことから、今年度はDNA認識領域を少しずらしたChB-PIP-2を合成、精製し、ChB-PIP-1と同様に標的DNA結合能および細胞死誘導効果を検討する。なお、ChB-PIP-1はPAX3-FOXO1陽性細胞特異的な殺細胞効果は見られなかったものの、ChBと比べて100倍以上の効果を示したことから、ChB-PIP-2の解析と並行して研究を続けていく。前年度までにChB-PIP-1がG2/M arrestを誘導することが確認できたことから、本年度はその分子メカニズムについて検討し、ChB-PIP-1がどのような遺伝子を標的としてG2/M arrestを誘導し、その後細胞死を誘導するのかを解明する。
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Research Products
(1 results)