2016 Fiscal Year Research-status Report
Runx2のGalnt3発現制御を介したリン代謝調節の生理的意義の検証
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15K11016
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
六反田 賢 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 客員研究員 (60549608)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Runx2 / Galnt3 / FGF23 / 高リン血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
血中のリン濃度は主に、FGF23によって調節される。FGF23 は、主に骨から産生されるホルモンで、腎臓の近位尿細管でリン再吸収を抑制する。さらに、活性型ビタミンDの産生量を抑制、小腸でのカルシウム、リンの吸収を抑制し、血中リン濃度を低下させる。Galnt3(UDP-N-アセチル-D-ガラクトサミン:ポリペプチド N-アセチル-D-ガラクトサミン転移酵素 3)は、セリンやスレオニンの水酸基にN-アセチルガラクトサミンを付加し、O-グリカンを形成する。すなわち、ムチン型糖鎖形成の第一ステップを担う酵素である。FGF23にムチン型糖鎖を付加し、FGF23のプロセッシングを阻害して活性を維持する作用が明らかにされている。ヒトでのGalnt3の異常は、FGF23のプロセッシングが促進され、FGF23の活性が低下、家族性高リン血症性腫瘍状石灰沈着症を引き起こす。 Runx2は骨芽細胞分化および軟骨細胞後期分化に必須な転写因子である。Runx2が転写調節するターゲット遺伝子をマイクロアレイで検索した結果、Galnt3がRunx2によって、骨芽細胞でも軟骨細胞でも発現誘導されることを見いだした。また、レポーターアッセイ、ChIPアッセイにより、Runx2がGalnt3遺伝子を直接転写調節することを明らかにした。実際、Runx2 ノックアウトマウスでは、Galnt3発現が著減していた。さらにRunx2によるGalnt3を介したリン調節の生理的意義を検討するため、Runx2 floxマウスを2.3 kb Col1a1プロモーターCreトランスジェニック(tg)マウスと交配し、Runx2 flox/flox Cre (Runx2fl/fl Cre)マウスを作製した。Runx2fl/fl Creマウスでは、Galnt3 mRNA, FGF23 mRNA, 血中FGF23の低下を認めたが、血清リン濃度に有意差を認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Runx2 floxマウスを2.3 kb Col1a1プロモーターCre tgマウスと交配し、Runx2fl/fl Creマウスを作製、Galnt3 mRNA, FGF23 mRNA, 血中FGF23、血清リン濃度を測定した。また、免疫組織染色で、骨芽細胞特異的Runx2 tgマウスでは、Galnt3の発現が野生型マウスと比較し、骨芽細胞特異的にGalnt3発現が増強していることも明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
血中リンの上昇が観察されない場合でも、リンが体に蓄積している場合があるので、腎臓に蓄積されたリンを野生型とRunx2fl/fl Creマウスで比較する。 Runx2fl/fl CreマウスとRunx2+/-マウスを交配、最終的にRunx2fl/- Creマウスを作製する。これにより、Runx2の発現レベルをさらに低下させる。このマウス及び野生型マウスの血中Ca, Pを測定するとともに、 ELISA法を用いてintact FGF23を測定する。また、頭蓋冠、長管骨、下顎骨よりRNAを抽出、リアルタイムRT-PCRで、Galnt3 mRNA, FGF23 mRNAを測定する。 マイクロCTを用いて、野生型、Runx2fl/fl Cre、Runx2fl/- Creマウスの骨量、海綿骨の数、厚さを比較する。また、皮質骨の厚さ、内骨膜周囲長、外骨膜周囲長を計測する。骨組織形態計測で、骨量、骨芽細胞数、類骨面、類骨幅、破骨細胞数、吸収面、石灰化速度、骨形成率を計測する。Goland-Yoshiki法で類骨染色を行い、石灰化の促進があるか検討する。骨形成マーカーとして血清オステオカルシン、骨吸収マーカーとしてTRAP5bを測定する。骨芽細胞分画を用いて、Galnt3, FGF23, Runx2, Sp7, Col1a1, オステオポンチン、骨シアロ蛋白、Rankl, Opgを、骨細胞分画用いて、Galnt3, FGF23, Sost, DMP1, FGF23, Phex, Mepe, Rankl, Opgの発現をリアルタイムRT-PCRで調べる。
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Causes of Carryover |
2.3 kb Col1a1プロモーターCre tgマウスは、複数箇所にトランスジーンが挿入されていたために、発現レベルが一定のCre tgマウス系統を樹立するのに時間がかかった。そのため、2.3 kb Col1a1プロモーターCre tgマウスとRunx2 floxマウスを交配して作製したRunx2fl/fl Creマウスの骨組織形態計測が翌年度実施となり、それに必要な費用が翌年度に繰り越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
Runx2fl/fl CreマウスとRunx2+/-マウスを交配、最終的にRunx2fl/- Creマウスを作製する。(マウス維持費)。Runx2fl/- Creマウス及び野生型マウスの血中Ca, Pを測定するとともに、 ELISA法を用いてintact FGF23を測定する(それぞれの測定キットを購入)。また、頭蓋冠、長管骨、下顎骨よりRNAを抽出、リアルタイムRT-PCRを行う(カスタムオリゴ、RNA抽出試薬、RNA精製キット、逆転写酵素、リアルタイムRT-PCR関連試薬の購入)。野生型、Runx2fl/fl Cre、Runx2fl/- Creマウスの組織的解析を行う(組織解析用試薬の購入)。骨形成マーカーとして血清オステオカルシン、骨吸収マーカーとしてTRAP5bを測定する(それぞれの測定キットを購入)。骨芽細胞分画、骨細胞分画用いて、リアルタイムRT-PCRを行う(リアルタイムRT-PCR関連試薬の購入)。
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