2017 Fiscal Year Research-status Report
歯髄炎症を制御する象牙芽細胞-ニューロン-内皮細胞間シグナル分子ネットワーク解析
Project/Area Number |
15K11056
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
渋川 義幸 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (30276969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田崎 雅和 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (40155065)
佐藤 正樹 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (80598855)
木村 麻記 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (90582346)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 歯学 / シグナル伝達 / 神経科学 / 生理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究では、歯髄炎症in Vitroモデル(象牙芽細胞-歯髄ニューロン-血管内皮細胞の共培養系)を開発し、1)象牙質破壊による歯髄炎症分子動態、2)神経原性炎症モデルと分子動態、3)血流増加モデルと歯髄炎症分子動態を解析している。
1)象牙芽細胞にATP刺激を行うと、一過性内向き電流が記録された。これら電流はナトリウムイオン透過性P2X7受容体、カルシウムイオン透過性P2X4受容体を介するものであった。一方、象牙芽細胞にはP2X1, P2X2/3, P2X3受容体発現は見られなかった(Shiozaki et al., 2017)。2)歯髄に分布するニューロンに直接機械刺激を加えると、ナトリウムイオン透過性電流が記録された。この電流は、いくつかの薬剤に対して感受性を示した。3)ニューロンに直接機械刺激を加え、近傍に存在するニューロンからイオン電流記録を試みたが、記録されず、ニューロン間での相互作用は見られなかった。4)ニューロンのATP受容体(P2X7受容体)が自己分泌性のATPで強く持続的に活性化されることが見出された。このメカニズムは、疼痛反応を持続的に増強する要因として働き、堪え難い歯髄痛を惹起する要因として働くかもしれない。
今後、ニューロン自身のATPによる自己分泌性制御を解明する。P2X7受容体が活性化されると、細胞内シグナルを介してATP放出イオンチャネル(パネキシンチャネル)が活性化する予備データを得ている。この点について明らかにし、歯髄炎症in Vitroモデル(共培養系)を用いた細胞間相互作用を詳細に検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本申請研究では、歯髄炎症in Vitroモデル(象牙芽細胞-歯髄ニューロン-血管内皮細胞の共培養系)を開発し、1)象牙質破壊による歯髄炎症分子動態、2)神経原性炎症モデルと分子動態、3)血流増加モデルと歯髄炎症分子動態を解析する予定であった。1)については、十分な研究が終了しすでに成果が出ている(Shiozaki et al., 2017; Nishiyama et al., 2016; Sato et al., 2015; Shibukawa et al., 2015)。2)と3)では、ニューロンと内皮細胞の相互作用を検討する予定である。しかし、研究の過程で、ニューロン同士の相互作用は見られないこと、ニューロンのATP受容体(P2X7)が自己分泌性のATPで強く持続的に活性化されることが見出され、歯髄炎症in Vitroモデル(共培養系)によるこれら細胞相互作用の検討前に、ニューロン自身のATP自己分泌性制御を解明する必要が生じた。そのため、本研究課題の研究が遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究成果から、歯髄分布ニューロンのATP受容体(P2X7受容体)が、自己分泌性に放出されたATPで、強く持続的に活性化されることが見出された。このメカニズムは、疼痛反応を持続的に増強する要因として働き、堪え難い歯髄痛を惹起する要因として働くかもしれない。そこで今後、ニューロン自身のATPによる自己分泌性制御を解明したい。P2X7受容体が活性化されると、細胞内シグナルを介してATP放出イオンチャネル(パネキシンチャネル)が活性化する予備データを得ている。この点について明らかにし、歯髄炎症in Vitroモデル(共培養系)を用いた細胞間相互作用を検討する。
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Causes of Carryover |
本申請研究では、歯髄炎症in Vitroモデル(象牙芽細胞-歯髄ニューロン-血管内皮細胞の共培養系)を開発し、1)象牙質破壊による歯髄炎症分子動態、2)神経原性炎症モデルと分子動態、3)血流増加モデルと歯髄炎症分子動態を解析する予定であった。1)については、十分な研究が終了しすでに成果が出ている(Shiozaki et al., 2017; Nishiyama et al., 2016; Sato et al., 2015; Shibukawa et al., 2015)。2)と3)では、ニューロンと内皮細胞の相互作用を検討する予定である。しかし、研究の経過で、ニューロン同士の相互作用は見られないこと、ニューロンのATP受容体(P2X7)が自己分泌性のATPで強く持続的に活性化されることが見出され、歯髄炎症in Vitroモデル(共培養系)によるこれら細胞相互作用の検討前に、ニューロン自身のATP自己分泌性制御を解明する必要が生じた。そのため、本研究課題の研究が遅延している。今後、消耗品費(細胞培養・動物購入)、国内外成果発表費用、英文校正費用として使用する予定である。
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Research Products
(19 results)
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[Presentation] Comparison of electrophysiological properties of P2X7 receptors between neurons and glial cells in rat trigeminal ganglion2018
Author(s)
Inoue, H., Kuroda, H., Ishikawa, N., Kimura, M., Shibukawa, Y., Tazaki M., Ichinohe, T.
Organizer
第95回日本生理学会大会
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[Presentation] Alkali- and ADP-sensitive store-operated Ca2+ entry (SOCE) mediated by Ca2+ release-activated Ca2+ (CRAC) channels in rat odontoblasts2017
Author(s)
Kimura, M., Sato, M., Kojima, Y., Higashikawa, A., Shiozaki, Y., Satou, Y., Shigefuji, R., Shimada, M., Kuroda, H., Ogura, K., Mochizuki, H., Kouno, K., Shibukawa, Y., Tazaki, M.
Organizer
第94回日本生理学会
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[Presentation] Odontoblasts express plasma membrane Ca2+-ATPase 1 and 42017
Author(s)
Kimura, M., Higashikawa, A., Kojima, Y., Terashima-Shigefuji, R., Inoue, H., Nagai, S., Kamata, S., Shimada, M., Kuroda, H., Ogura, K., Mochizuki, H., Kouno, K., Ando, M., Shibukawa, Y., Tazaki, M.
Organizer
第95回日本生理学会大会