2016 Fiscal Year Research-status Report
唾液エクソソーム分泌に関わるタンパク質分子群の解析
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15K11063
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Research Institution | THE NIPPON DENTAL UNIVERSITY COLLEGE AT NIIGATA |
Principal Investigator |
今井 あかね 日本歯科大学新潟短期大学, その他部局等, 教授 (60180080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 貴絵 (山下貴絵) 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 助教 (10633646)
横須賀 宏之 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (30267231)
辻村 麻衣子 (羽下麻衣子) 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (60535219)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 唾液 / タンパク質 / エキソソーム / ペプチド / ストレス / 生理活性 / 電気泳動パターン |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、疾患マーカーとして注目されているmicroRNAはエクソソームと呼ばれる細胞外小胞顆粒中に存在する。唾液中にもエクソソームが分泌されており、癌をはじめとする新しい診断基準として実用化されつつある。また、新たな細胞間情報伝達システムとして注目されている。唾液エクソソーム分泌のメカニズムを解明するにあたり、まずエクソソームの膜成分および内容物の解析が必要であると考えた。唾液サンプルを集めそこからエクソソームを調製して膜輸送に関係するタンパク質等の痕跡を分析することにより分泌メカニズムを考察することを計画していたが、研究環境上予定通り進めなかった。一方、魚類のうろこ再生に関わるGanoine研究および口腔内環境による唾液の役割についての研究に本研究のアプリケーションを応用し成果を得た。平成28年度は唾液中エクソソームの定量化と評価方法についておおよその目途をつけることができた。また、涙に含まれるオピオルフィンであるPROL1が唾液中にも分泌されていることを突き止め、そのペプチドが唾液エクソソームに含まれている可能性を追求した。オピオルフィン(QRFSR)は抗うつ作用や鎮痛作用を発揮する生理活性ペプチドである。このペプチドはBasic Proline Rich Lacrimal Protein (BPLP) のアミノ末端5残基に相当する。BPLPが唾液腺においても発現され、全唾液の中では多様なプロテオリシスを受けていることを示唆する。BPLPのシグナルペプチド領域が同定されたが、それは全唾液中のエクソソームⅡに存在するBPLP前駆体に由来する可能性があった。なお、市販のPROL1抗体で唾液のBPLPを鮮明に検出することはできなかった。一方、高プロリンタンパク質であるP-B (SMR3B)も唾液中に存在しており、エクソソームに含まれているのか検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度に引き続き、使用予定であった実験動物棟の改築工事中だったため、ラットを使用する実験を遂行することができなかった。また、研究以外の教育業務が増大したため、十分なエフォートを確保できなかった。さらに研究分担者である松田が育児休業のため、担当分の作業に時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
唾液中エキソソームの定量化・評価法を確立する。引き続きいろいろな条件下におけるヒト唾液を採取してエキソソームに含まれるタンパク質およびペプチドをウエスタンブロッティング法等により明らかにしていく。また、エキソソームに含まれるペプチドに個人差が生じていないか解析を行う。ラット耳下腺腺房細胞を調製して、細胞中のエクソソームの待機状態または挙動を観察する。
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Causes of Carryover |
実験動物を使用しなかったことと、消耗品等をキャンペーンなどを利用して予定より安く購入できたため予定金額より実支出額が安くなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ラット耳下腺を使用する実験を行う際に実験動物購入に充てる。その他消耗品等の価格上昇分にあてる。
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Research Products
(11 results)