2016 Fiscal Year Research-status Report
放射線歯根形成障害メカニズム解明の基盤研究~新たな知見を創設可能な実験システム~
Project/Area Number |
15K11089
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
井出 吉昭 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (70409225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 貴 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (10366768)
石川 博 日本歯科大学, 生命歯学部, 客員教授 (30089784)
那須 優則 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (50130688)
豊村 順子 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (80645630)
大山 晃弘 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (90538232)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯根 / 放射線照射 / 小児白血病 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究グループは放射線が歯根形成障害を引き起こすことに注目し、マウスを対象に臼歯(下顎第1臼歯)の歯根形成開始時期(生後5日齢)にエックス線頭部照射を行い、ヘルトヴィッヒ上皮鞘とその周囲間葉の細胞動態の変化について報告している。従来から行われている頭部照射は、照射野に内分泌器が含まれることから血中ホルモン量の低下をまねくため、「放射線の歯胚への直接的な影響」を解析しているとはいえない可能性があった。 頭部照射実験で考えられる問題が生じない「放射線の歯胚への直接的な影響」を解析できる実験モデルの開発を検討した結果、本科学研究費補助のもと、鉛ガラスを加工して目的とした歯胚のみにエックス線を照射できる歯胚局所照射法が本実験に最も適していると判断した。開発当初は歯胚のみに高い精度で照射できなかったが、照射方法に改良を加えることにより、高い再現性の照射が可能となった。 本研究で確立した歯胚局所照射を行ったマウスの血中ホルモン量を計測したところ、頭部照射マウスでみられたホルモン量の低下がほとんどみられなかった。また、歯根形成開始時期に歯胚局所照射すると歯根の形成障害がみられた(マイクロCT像)。さらに、組織学的観察(HE染色、免疫染色)を行ったところ、根尖部の形態異常は頭部照射マウスの異常と類似した傾向にあると考えられた。 今後、歯胚局所照射法による経時的な歯根形成障害を形態学的に観察することにより、「放射線の歯胚への直接的な影響」を明らかにする予定である。また、本実験モデルによる基礎データを明らかにしていくことで、さらなるメカニズム解明のためのステップになると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、従来の頭部放射線照射では解析できなかった「放射線の歯胚への直接的な影響」を解析する方法(歯胚局所照射法)を確立し、再現性の精度を高めてきた。そして、平成26年度から本実験を行い始めたことにより、放射線が歯根形成に与える影響の傾向をつかむことができた。 次年度も本実験を継続していくことにより、本研究で得られた知見を論文報告できる目途が立ったと考えるため、おおむね順調に進展してると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で開発した歯胚局所照射法を用いて「放射線の歯根形成への直接的な影響」を論文報告するため、経時的変化がみられるような実験系を組み歯根全体と根尖の解析(マイクロCT解析、一般染色、免疫染色など)を行っていく予定である。 また、以上のことが完了次第、ヘルトヴィッヒ上皮鞘と周囲間葉の分子機構の解析に着手したいと考える。
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Causes of Carryover |
マウス照射実験に使用するために多くのマウスを購入する予定があったが当該年度では予定した匹数のマウスを使用しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度に使用しなかった金額は照射実験に使用するマウス代に充てる予定である。
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