2016 Fiscal Year Research-status Report
気導および骨導マスキングを応用した歯科騒音低減デバイスの開発
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15K11111
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 朋美 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (70452448)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯科ドリル / 骨導音 / 気導音 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科治療中の患者の不快感を効果的に軽減させる歯科騒音低減デバイスの新規開発をめざし研究をすすめている。歯の切削治療中の患者は耳から聞こえる気導音だけではなく、歯から伝わる骨導音も知覚しており、デバイス開発のためには歯を介した骨導音の知覚特性を明らかにする必要がある。また、年配者より聴覚の良い若年者が歯科ドリル音の超高周波帯域の音成分をより知覚できることを心理実験により確認し、研究成果として報告してきた。聴力レベルがより良い特性を有する子供のほうが影響を受けやすく不快な感情をもちやすいと推測される。 前年度は、聴力検査に用いられる骨導振動子を改良し前額部および前歯に圧接し周波数毎の歯を介する骨導知覚レベルを把握した。今年度は、被験者の歯ぎしり音を気導マイクロホンおよび前額部に圧接した骨導マイクロホンで収録し、歯から骨を伝わる音の周波数成分や知覚特性をより深く検討し、成果発表を行った。また、研究計画に則り、ダミーヘッドを用いた切削音の頭部音圧分布測定を実施し、歯科ドリル音の周波数帯域毎の拡散レベルを把握できた。さらに、今年度、所属機関での動物実験に必要な承認を得て、聴力特性が解明されているマウスを対象とする歯科ドリル音聴取実験を実施した。高周波成分を変化させたドリル音を作成し、高周波成分の有無による不安感への影響を行動解析により検討した。これらの成果は不快感低減を考えるうえで有用な情報となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダミーヘッドを用いた切削音の頭部音圧分布測定を実施し、歯科ドリル音の患者に影響の強い周波数帯域毎の拡散レベルを把握できた。また、マウスを用いた行動解析実験により、超高周波帯域の音成分による不快感の影響を検討した。これらの成果は幼児なども含めた若年者への不快感低減効果を高めるために有用である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、気導および骨導音に対する効果的なマスキングのためマスカーとマスキングレベルについてさらなる検討を行う。マスキングの効果に対する評価は被験者を対象としてsemantic difference methodにて評価する。これらの結果をもとに具体的なデバイスの試作品完成をめざす。
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Causes of Carryover |
おおむね研究計画通りに進んだが、予算として計上していたデバイス筐体外注費は次年度へ持ち越しとなったこと、および、科研費以外の英語論文の投稿支援事業の対象となり掲載料が年度末に返金されことにより次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画どおり、デバイス筐体の製作費および必要な解析ソフトウエアのオプションの購入を予定している。また、国内外の学会において研究の成果発表および国際誌への論文投稿にかかわる費用として使用する計画である。 研究計画に則り必要性を吟味して効果的に助成金を使用する予定である。
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Research Products
(3 results)