2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K11164
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田上 直美 長崎大学, 病院(歯学系), 准教授 (70231660)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 転写紙 / ステイン / ジルコニア / 成分分析 / 二酸化ケイ素 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、ステインの成分分析を行った。 窯業分野で用いる転写紙および歯科用ステインについて簡易型蛍光X線装置を用いて成分分析を行い、更にジルコニアディスク以外の成分について全体が100%となるよう再計算した補正値を求めた。 その結果、2つの材料に共通して二酸化ケイ素、三酸化ホウ素、三酸化アルミニウム、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化亜鉛、酸化鉄(三酸化二鉄)、酸化カルシウム、酸化マグネシウムが含有されており、転写紙に特有の成分として酸化バリウム、三酸化二ビスマス、二酸化チタン、酸化マンガンが含有されていることが判明した。歯科用ステインには二酸化スズ、二酸化セリウム、三酸化二アンチモン、三酸化二クロムが含有されており、これらはステインを低融点に調整するために含有されているものと推測された。 それぞれの材料において含有率は異なっており、歯科用ステインでは酸化ケイ素が55.38%含まれていたのに対し、転写紙では43.98%であり低かったが、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウムは転写紙に多く含まれていた。歯科用ステインには窯業分野における釉薬に赤色として用いられるカドミウムを含んでおらず、カドミウムを用いない成分で赤色を成していることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では最適な焼付条件を設定するまで平成29年度中に行う予定であったが、厚みによる差が予想以上に顕著であったため、厚みによる差が生じた理由を解析する新たな研究計画を追加する必要が生じ、厚みに関与する因子を特定するために成分分析を行った。従って、平成30年度中に当初の予定である焼付条件までを研究することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に当初の計画通りの遂行を考えているが、一部計画の見直しが必要となり、追加実験を行うこととなった。その後、速やかに当初の研究計画を遂行しており遅れは挽回できつつある。引き続きこのペースを維持することで遅れは解消できる。
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Causes of Carryover |
平成29年度には、当初予定していなかった厚みに関する追加実験を行う必要が生じたため、当初予定していた最適な焼付条件を模索するための研究が遅延した。そのために焼付条件に関する研究資金が未使用となり次年度使用額が生じた。このため、平成30年度に平成29年度に実施予定であった研究計画を遂行し、その研究に対し予算を使用予定である。
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