2016 Fiscal Year Research-status Report
金属アレルギー動物モデルを用いた予防・診断法の開発研究
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15K11192
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 直毅 東北大学, 加齢医学研究所, 非常勤講師 (50625043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 康悦 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (30323603)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
金属アレルギー研究はこれまで患者サンプルを用いて、細胞培養による研究が主流であったため介入研究ができず、発症機序の詳細については未だ不明である。金属は、人工生体材料として用いられて頻用されており、歯科においては、人工修復材料、補綴材料として広く用いられ患者のQOLを満してきた。しかし、ごく一部の患者においては金属アレルギーの誘発など問題を抱えている。さらに、ピアスやネックレスなどの装飾品をつける人も増えたことから、金属アレルギーは増加の一途にある。金属アレルギーは金属イオンが生体内タンパクと結合することにより抗原となっておこるIV型アレルギーであり、T細胞が主体と考えられている。本研究では、金属アレルギーの新たな診断・予防法の開発基盤の確立を目的としている。 前年度の研究で、パラジウムを用いた金属アレルギーにおいて、発症にヒスタミンが関与する結果が得られた。28年度、このことを詳細に検討したところ、パラジウムを用いた金属アレルギーにおいて、ヒスタミンはT細胞に作用することが明らかとなった。さらに、金属アレルギー動物モデルを用いて、抗ヒスタミン薬を投与したところ、パラジウムアレルギーの症状である、発赤、腫脹が抑制できることが判明した。ヒスタミンはI型アレルギーに関与することが知られ、これまでIV型アレルギーである金属アレルギーにおいてはヒスタミンの関与は懐疑的であった。しかし本研究により、IV型アレルギーにおいてもヒスタミンが関与していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パラジウムを用いた金属アレルギーにおいて、ヒスタミンはT細胞に作用すること、ヒスタミン刺激により、T細胞から炎症性サイトカインが産生されることが明らかとなった。さらに、金属アレルギー動物モデルを用いて、抗ヒスタミン薬を投与したところ、パラジウムアレルギーの症状である、発赤、腫脹が抑制できることが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスモデルを用いてパラジウムアレルギーの、ヒスタミンの関与の詳細を明らかにする。具体的には、in vitro培養実験系を用いて、ヒスタミンとT細胞の相互作用を分子生物学的な側面から明らかにする。
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Causes of Carryover |
マウスモデルを用いてパラジウムアレルギーの、ヒスタミンの関与の詳細を明らかにする。本年度、金属アレルギーにおけるヒスタミンの関与にかかわる動物実験や、in vitro培養実験の一部が未達であったため、次年度以降、ヒスタミンによる炎症性反応の誘導機序など分子生物学的な関与を明らかにしていく予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ヒスタミンの分子生物学的な関与を動物実験を中心にして明らかにしていく。次年度使用額は、当初計画していた動物実験の一部を次年度に延期することによって生じたものであり、次年度以降に実施する動物実験に必要な経費として、平成29年度請求額と合わせて使用する予定である。
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Research Products
(6 results)