2016 Fiscal Year Research-status Report
ゼノフリー治療用ヒトiPS細胞による霊長類歯周組織再生療法への展開
Project/Area Number |
15K11221
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中川 種昭 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00227745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 暁 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (00424169)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | iPS細胞 / フィーダーフリー / ゼノフリー / 歯周組織再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではヒトiPS細胞を用いた組織再生メカニズムを免疫組織学的手法と画像解析によって明らかにし、安全・確実な歯周組織iPS細胞再生療法を確立する事を目的としている。初年度の研究成果からフィーダーフリー・ゼノフリーiPS培養法から、歯周組織の発生学的起源である神経堤細胞への誘導も実現していた。2016年度は初年度の研究成果を踏まえ、①組織再生メカニズムを検証する前提として、申請者らがiPS細胞から誘導した神経堤細胞が、組織再生を目的とする歯周組織に存在しているのかを確認・検証を行った。発生学的な観点から歯周組織構築の起源を確認した。神経堤の細胞系譜を追跡できる遺伝子改変マウス(P0Cre/floxed-EGFP)を用いた実験により間葉系幹細胞マーカーであるCD44,CD140a(PDGFRα)などが歯根膜に存在し、それらの細胞の一部はGFPとの共在により神経堤に由来することが示唆された。これは間葉系幹細胞の一部が神経堤に由来するというMorikawa et al., BBRC, 2009にもつながる結果となった。そのため、神経堤由来間葉系幹細胞は歯周組織再構築への有用な細胞源である可能性が示唆された。②そこでヒトiPS細胞から神経堤様細胞を介することで、LNGFR(+)THY-1(+)細胞を誘導作製した(Ouchi et al., Differentiation, 2016)。LNGFR(+)THY-1(+)細胞は過去の報告から有効なヒト間葉系幹細胞マーカーとして報告されている(Mabuchi et al., Stem Cell Reports, 2013)。ヒトiPS細胞由来LNGFR(+)THY-1(+)細胞は組織由来のそれに比較し、より効率良く分離できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
治療用iPS細胞をフィーダーフリー、ゼノフリー状態で培養できている。その状態から歯周組織の発生学的起源であり神経堤細胞を誘導することに成功し、さらにそれらの誘導細胞は間葉系幹細胞の性質を有していることも確認できている。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者らは実験動物中央研究所理化学研究所(和光)での霊長類コモンマーモセットの歯周組織解析を計画しており正常歯周組織、炎症歯周組織でのマーカー発現を探索する予定である。
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Causes of Carryover |
抗体等を含めた実験消耗品の購入が少なかったために、次年度使用額が生じました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は組織再生メカニズムを免疫組織学的手法と画像解析によって明らかにしていく予定なので、その解析を行うために適切に使用していく予定です。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] LNGFR+THY-1+ human pluripotent stem cell-derived neural crest-like cells have the potential to develop into mesenchymal stem cells2016
Author(s)
Ouchi, T. Morikawa, S. Shibata, S. Fukuda, K. Okuno, H. Fujimura, T. Kuroda, T. Ohyama, M. Akamatsu, W. Nakagawa, T. Okano, H.
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Journal Title
Differentiation
Volume: 92
Pages: 270-280
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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