2016 Fiscal Year Research-status Report
上顎骨移動術が鼻腔形態ならびに鼻腔通気度に及ぼす影響を解明する
Project/Area Number |
15K11238
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
長谷部 大地 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (30571905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 正治 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80195792)
小島 拓 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (90515777) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 顎変形症 / 顎矯正手術 / 鼻腔通気度 / 気道形態 / 顎骨安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】顎矯正手術は顎顔面形態や咀嚼などの顎口腔機能の改善を目的に行われるが、近年、術後の上気道形態に影響を及ぼすことが指摘されている。このことから顎矯正手術による気道形態や呼吸動態の変化が口呼吸や口腔周囲筋肉の不調和などを引き起こし、術後の安定性に影響を及ぼす可能性が推測され、顎矯正手術と気道や呼吸動態の関連性を明らかにすることは外科的矯正治療の成績向上を図る上で重要と考える。過去に上顎骨移動術が鼻腔通気度に影響を及ぼしたという報告例を認めたことから、本研究は気道の入り口である鼻腔に着目して顎矯正手術、特に上顎骨移動術が鼻腔形態ならびに鼻腔通気度に及ぼす影響を解明して呼吸動態の変化と顎骨への影響を明らかにすることを目的とする。 【実施計画】上顎骨移動術を施行した顎変形症患者に対して術前と術後6か月経過時に撮影したCT画像を用いて鼻腔形態の変化を解析し、同時期に鼻腔通気度測定を行い、鼻腔形態の変化と鼻腔通気度との関連性を検討した。顎顔面形態の分析はは術前、術直後、術後1年経過時に撮影した側面頭部X線規格写真で解析を行った。 【成果】術後1年経過してすべてのデータ採取が終了した症例が47例(上下顎移動術例32例、下顎移動群15例)であり、そのデータを解析したところ、術前後で鼻腔容積・鼻腔通気度に統計学的に有意な変化は認めなかった。しかし、上下顎移動群において鼻腔通気度の変化と顎骨移動量に相関を認めたことから、顎骨の形態変化は鼻呼吸機能に影響を及ぼしている可能性が示唆された。また、鼻腔通気度の変化と術後の顎骨安定性について検討を行ったが、統計学的に有意差を認めた項目は認めなかった。これは本研究の対象は顎骨移動量が大きい症例はなく、その影響によるものと考えられた。今後もさらに症例数を増やし、さらなる検証を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の資料は鼻腔通気度と画像データである。鼻腔通気度に関しては簡便かつ短時間で行うことができ、画像データに関しては治療評価のため、術前後に撮影した画像データを借用して解析を行っているので、対象患者には最小限の負担となっている。そのため、本研究には比較的多くの方に参加していただいている。 現在、資料収集等に同意を得ているのは67例で、そのうち47例のデータ解析が終了している。引き続き残りの症例の解析を継続する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、解析中の症例もあるため、引き続き解析を行ってから、最終的な検証を行う予定である。その後は今回の研究成果を英語論文にして、海外雑誌への投稿の準備を行う。
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