2016 Fiscal Year Research-status Report
予見される口内炎の発症予防・増悪抑制を試みる新規治療マネージメントの検討
Project/Area Number |
15K11275
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
吉野 文彦 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (20308307)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 抗酸化物質 / ファイトケミカル / 活性酸素 / 抗癌剤 / 口内炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は,抗酸化物質の事前処置による癌化学療法に併発する口内炎の予防・増悪抑制に関わる効果の解析である。前年度までに,水溶性抗酸化物質であるαグルコシルヘスペリジン,クロロゲン酸,αグルコシルルチンの活性酸素種への消去作用についてに検討した結果,比較的入手方法が容易であり,すでに幾つかのコマーシャル商品としても実用化されている植物由来のファイトケミカルであるαグルコシルヘキシジンの5-フルオロウラシル誘導性口内炎に対する効果について検討した。 その結果,αグルコシルヘスペリジンは口内炎の発症自体は抑制しなかったが,コントロールと比較し,口内炎の増悪を有意に抑制した。加えて,前年度抗酸化評価を行った結果から口内炎部の酸化ストレスマーカーであるTBARS評価を行った結果,αグルコシルヘスペリジンの前処置は,有意に口内炎部の酸化ストレスを減少させた。この結果から,水溶性抗酸化物質であるαグルコシルヘスペリジンは,抗癌剤により免疫が低下した生体に生じる口内炎に対して有益に働く可能性が示された。 次年度は,検討課題の1つである,口内炎に効果があるとして知られている漢方薬(半夏瀉心湯,黄連湯,菌疎高湯の前処置による実験動物における口内炎への効果について検討を行っていく予定である。また,脂溶性抗酸化物質であるルテイン,ゼアキサンチンに関しては,in vitro における抗酸化作用の検討が困難であるため,今後は水溶性抗酸化物質に焦点を絞って検討を続けていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度で抗酸化作用が確認された水溶性抗酸化物質の実験モデルに対する口内炎への効果が検討でき,有益な結果が認められたことから,おおむね順調に課題が進展しているものと考える。また,計画調書に記載した漢方薬の口内炎に対する効果の検討が次年度における課題として残っているが,予定通りであり,さらに水溶性抗酸化物質の効果についても,生化学的手法をもちいたより詳細な検討も行う予定であり,問題なく課題遂行が行えると自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
1.口内炎に対する効果が期待される漢方薬を用いたモデル動物への効果の検討 2.5-FUに対する影響について細胞を用いた細胞障害性実験を行う。 すでに,これら検討課題については実験を継続しており,さらなる精査を実行する予定である。
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Causes of Carryover |
計画調書では,水溶性抗酸化物質全てにおいて,口内炎に対する効果を検討する予定であったが,初年度の研究結果,および今後の社会への発展性を検討した上で,αグルコシルヘスペリジンのみに検討を行った結果,当初予定されていた実験動物数に満たなかった。加えて,予定されていた海外学会参加が行えなかったため差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は,平成28年度と比較しより多くの実験動物を使用する予定であり,また,組織の生化学的分析も多く行い予定であるため,前年度との差額を使用していく予定である。また,研究結果の論文化や学会発表,また可能であればより多くの情報の発信のためオープンアクセスジャーナルへの投稿を予定しているため,必要に応じた予算使用が考えれる。
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Research Products
(4 results)