2016 Fiscal Year Research-status Report
Theranosticsによる頸部微少リンパ節転移制御の試み
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15K11303
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
土持 眞 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (20095186)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 癌 / 転移 / 分子イメージング / theranostics / 近赤外蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は原発巣から局所リンパ節の転移細胞をイメージングでとらえ,theranosticsとしてphotoimmunotherapyで転移した細胞のみを撲滅させるというアプローチが可能かどうかを実験動物レベルで明らかにすることである。センチネルリンパ節の同定は99mTcフチン酸を使用して検出し,近赤外蛍光でセンチネルリンパ節内の転移の有無を確認してphotoimmunotherapyで治療するschemeである。平成28年度にphotoimmunotherapyに使用する近赤外蛍光色素IR700で標識したanti-EGFR affibodyが EGFR発現口腔扁平上皮癌細胞に特異的に結合するかどうかを探った。標識はanti-EGFR affibodyのSH基にリンカーを介してIR700を結合させた。このプローブを用いて口腔扁平上皮癌細胞の特異的な近赤外蛍光を確認できた。Photoimmunotherapyとして,このプローブで標識した腫瘍細胞に傷害を与えるための近赤外蛍光照射装置を作製した。この特定の波長の近赤外蛍光を照射することによってプローブが結合した細胞膜に急激な熱膨張による細胞膜破壊を引き起こして癌細胞が死滅すると考えられている。作製した装置では250mAで,約100mW/cm2の照度は10秒の照射で1J/cm2,500mAで,約200mW/cm2の照度は5秒の照射で1J/cm2となる。測定には光パワー(W),放射照度(mW/cm2)の測定には,Gentec Electro-Optics Incの光パワーメーターを使用した。本装置の性能がtheranosticsの実験を遂行可能であることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EGFR高発現の口腔扁平上皮癌細胞SASとEGFR低発現の乳癌細胞MCF-7を用いて細胞レベルでAffibody蛍光プローブの特異的イメージングについて検討した。また免疫不全マウスの舌に腫瘍細胞を移植して頸部リンパ節転移モデルを用いてanti-EGFR affibody ICGによる腫瘍細胞イメージングについて検討した。99mTc phytate を舌に注入してシンチグラフィを行いセンチネルリンパ節のイメージングを行った。Affibody蛍光イメージングはプローブ注入後24時間までLI-COR Pearl Imager (700 nm channel )で観察した後に頸部開創後および頸部組織切除,リンパ節摘出してそれぞれ近赤外蛍光イメージングを行った。切除組織はHE染色,抗EGFR抗体免疫組織染色を実施した。先ず,anti-EGFR affibody ICGを使用して特異的近赤外蛍光イメージングが可能なことを細胞レベルで確認した。培養液にAffibodyプローブを添加にてSAS細胞はMCF-7細胞に比べて強い近赤外蛍光を示した。転移リンパ節で強いICGによる近赤外蛍光強度を認めEGFR発現が陽性であった。本結果はセンチネルリンパ節検索を容易にして微小な転移細胞を近赤外蛍光で術中にとらえることができる可能性が実験動物で示された。次にanti-EGFR affibody IR700 によるPhotoimmunotherapyとして、口腔扁平上皮癌細胞SASへのイメージングが可能でこのprobeがEGFR発現細胞に標的化していることが確認できた。photoimmunotherapyのための近赤外蛍光照射装置を作製した。これは8個のLEDからなり細胞レベルで照射を行い腫瘍細胞に特異的細胞障害を引き起こすことを認めた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの免疫不全マウスにおける頸部転移腫瘍の作成は口腔扁平上皮癌細胞で行いanti-EGFR affibodyで実施した。ここでは蛍光色素ICGを用いて頸部リンパ節転移腫瘍細胞を特異的にイメージングできるか確認した。しかし,転移腫瘍の大きさは3-4 mmのリンパ節の中で1-2 mm以下で,増大を待つと原発部の腫瘍増大によりマウス個体の死が生じた。今後は耳介部に転移腫瘍のモデルを作成して,この腫瘍部にanti-EGFR affibody,IR700を注入して近赤外蛍光を照射してphotoimmunotherapyの効果をみる予定である。耳介部の腫瘍モデルでは腫瘍細胞皮下注入により10 mm大の腫瘤形成を容易に作成できた。
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Causes of Carryover |
免疫不全マウスの実験モデルの作成が困難で,研究の進行が遅滞したためにその費用の消費が減少した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は腫瘍転移モデルを申請時の計画から変更して頭部耳介部に腫瘤を形成させてphotoimmunotherapyの効果を検証する。
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Research Products
(6 results)