2015 Fiscal Year Research-status Report
低分子メタボロームの質量分析による歯周病と全身疾患の相互連関メカニズムの解明
Project/Area Number |
15K11386
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野崎 剛徳 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30263304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 岐聡 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80283828)
馬場 健史 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (10432444)
柳田 学 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80379081)
北垣 次郎太 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (90570292)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯周病 / メタボローム / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は以下の研究を実施した。 1. 肥満モデル動物および歯周病モデル動物の作製:5週齢のC57BL/6マウスに4ヶ月間にわたり高脂肪食の給餌を行うことで、肥満モデルマウスを作製した。この間、経時的にグルコース負荷試験、インスリン負荷試験を行って、マウスの全身状態を観察した。またC57BL/6マウスの上顎第二臼歯に絹糸を結紮して放置することで、歯周病モデルマウスを作製した。そしてこれらのモデル動物の外側尾静脈から、検体として20μLの末梢血を採取した。 2. 検体前処理法の確立:検体の前処理法を確立した。採取した血液に、メタノール/水/クロロホルムおよび2-イソプロピルリンゴ酸を添加して遠心濃縮および凍結乾燥を行った後、ピリジンに溶かしたメトキシアミン塩酸塩(20mg/mL)を添加して30℃にてインキュベートし、さらにN-メチル-N-トリメチルシリルトリフルオロアセトアミドを添加して37℃でインキュベートすることで、誘導体化する前処理法を確立した。 3. マルチターン飛行型質量分析計を用いた低分子メタボロームの検出:上記の方法で誘導体化を行った後、ガスクロマトグラフ/マススペクトロメトリー(GC/MS)による質量分析を行った。カラムにCP-Sil 8 CBを、キャリアガスにヘリウムを用いて、試料を80℃から330℃まで15℃/minで昇温した後、注入温度230℃、スプリット比10:1で試料をカラムに注入した。質量分析計にはMULTUM-S IIを使用し、低分子メタボロームの検出を行った。 4. 肥満および歯周病モデル動物におけるメタボロミクス相関解析:GC/MSによって得られたデータを基にTIC クロマトグラムを描出し、さらに主成分分析や相関解析を行うことで、肥満モデル動物および歯周病モデル動物における、末梢血中のメタボライトの変動の解析を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の実施を予定した各項目のうち、肥満モデル動物および歯周病モデル動物の作製、検体前処理法の確立、ガスクロマトグラフ-質量分析による低分子メタボロームの検出は完了しており、研究は概ね順調に進展している。現在はモデル動物におけるメタボライトの変化の解析を進めているが、この結果を受けてH28年度に実施予定の、モデル動物への歯周病原性細菌の経口接種および実験的歯周炎の惹起によるメタボローム変動の比較解析を実施する計画としている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は以下の研究の実施を予定している。 1. 肥満モデル動物および糖尿病モデル動物への歯周病原性細菌の経口接種と実験的歯周炎の惹起:肥満モデルマウスおよび糖尿病モデルマウスにP.gingivalis FDC381株を経口接種する。またこれらのモデル動物の上顎臼歯に絹糸を結紮して、実験的歯周炎を惹起させる。そして外側尾静脈から末梢血を検体として採取する。採取した検体は解析まで-80℃で凍結保存する。 2. 検体前処理と前処理法の改良:上記の方法により採取した検体に、平成27年度の研究で確立した方法で前処理を行う。その一方で、検出対象への脂溶性物質の追加や検出のハイスループット化を目的とした、前処理法の改良を行う。 3. マルチターン飛行型質量分析計を用いた低分子メタボロームの検出:平成27年度に確立した方法で、GC/MSによる低分子メタボロームの検出を行う。さらに、試料を前処理なしにイオン化する方法であるDART(Direct Analysis in Real Time)の利用など、検出を即時高品位に行うための方法を検討する。 4. 歯周病原性細菌の経口接種や実験的歯周炎の惹起がメタボロームの変動に及ぼす影響の解析:肥満モデル動物や糖尿病モデル動物におけるGC/MSのデータを基に、主成分分析、相関解析を行って、歯周病原性細菌の経口接種や実験的に惹起した歯周炎が、末梢血中の低分子メタボロームの変動にいかなる影響を及ぼすのかを解析し、歯周病が肥満や糖尿病に及ぼす影響を解析する。
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Causes of Carryover |
使用期限等の関係から購入時期を検討している物品があり、次年度使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在使用中の消耗品が無くなりしだい物品購入を行うこととしており、使用計画に変更はない。
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Research Products
(1 results)