2016 Fiscal Year Research-status Report
歯肉上皮中の前駆蛋白分解酵素ADAMsを標的とした歯周病予防薬の開発
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15K11424
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
粟野 秀慈 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (20301442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
邵 仁浩 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (10285463)
安細 敏弘 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (80244789)
岩崎 正則 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (80584614)
角田 聡子 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (70364156)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ADAM17 / TNFα-converting enzyme / TNFα / ヒト口腔ケラチノサイト / 歯周組織 / 歯周炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
a disintegrin and metalloprotease 17 (ADAM17)はtumor necrosis factor (TNF)-α転換酵素として知られ、TNF-αのプロドメインを分割する酵素として最初に同定されたメタロプロテアーゼの1つで、様々な組織に存在し、癌や炎症性疾患などの多くの疾患の発症に関連があると考えられている。本研究では口腔内におけるADAM17の働きを解明するため、ヒト口腔ケラチノサイトでのTNF-αのような前炎症性シグナルにおけるADAM17の発現や作用を検証することを目的とした。 今年度は、昨年度の研究実績、ADAM17の歯肉上皮とヒト口腔ケラチノサイト(HOK)における発現や、HOKに対するP. gingivalisおよびE-coli由来のLPS刺激によってTNF-αとADAM17レベルは相乗的に増加し、TNF-αとADAM17間に有意な相関関係が認められたこと。またHOKに対するE-coli由来のLPS刺激によるTNF-αの発現レベルはADAM17阻害薬(TAPI-0)によってのみ減少し、加えてHOKに対するADAM17 siRNA処理によって細胞内のADAM17の発現が低下し、併せてLPS刺激後のTNF-α発現量の減少が認められた研究内容より、歯肉組織における上皮にADAM17の強い発現が認められ、ADAM17はヒト口腔ケラチノサイトにおいてTNF-α発現を制御する役割を持つ主要な酵素である可能性が示唆され内容をBiomedical researchにて報告を行った(in press)。 また今年度は新たに、歯周病患者の歯肉溝液中のADAM17とTNF-αレベルと歯肉溝液を採取した同一部位の歯肉縁下プラーク中の口腔内細菌叢の違い、また臨床的な病態との関係を検証したが、現在までのところ明確な関係を明らかにすることができていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までの研究内容に関しては、国際誌にて報告を行った。 また研究実績の概要でも述べたが、臨床的病態ならびに歯周病原性細菌の細菌叢の違いによる、歯肉溝浸出液と歯肉内縁上皮組織中のADAM17によってシェディングされるTNF-などの様々な炎症性シグナル物質の発現レベルを調べ、生体におけるADAMs炎症性ネットワークの仮説モデルの実証に関しては、明らかな研究成果が得られていないため(2)という評価にした。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床的病態ならびに歯周病原性細菌の細菌叢の違いによる、歯肉溝浸出液と歯肉内縁上皮組織中のADAMs またADAMs によってシェディングされるTNF-αなどの様々な炎症性シグナル物質のmRNA/蛋白質段階での発現レベルを調べ、生体におけるADAMs 炎症性ネットワークの仮説モデルの実証と併せて、活性を特異的に阻害する様々な方法を、細胞内外における炎症性ネットワークの動態を通して検証し、最終的に有用性が高いADAMsを標的とした歯周病予防・治療薬としての可能性を検討し、歯周病予防のための新戦略を提案する。
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Causes of Carryover |
当該年度が最終年度でなかったため、次年度での使用を考慮して結果的に少額ではあるが、残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度の残額に関しては、次年度の予算を合わせて物品費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)