2015 Fiscal Year Research-status Report
歯周疾患に関わる頸動脈硬化症が中枢性血圧反射感受性に与える影響
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15K11460
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
岡田 芳幸 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (70566661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉成 伸夫 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (20231699)
田口 明 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70243582)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 交感神経活動 / 圧受容器反射 / 頸動脈硬化症 / 歯周疾患 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症歯周病患者は循環器系疾患を併発するリスクが高い。しかしながら、これらの因果関係を示す強いエビデンスは存在せず、その機序は不明である。現在、歯周病患者では頸動脈内膜の肥厚、狭窄が認められ、頸動脈硬化症を併発するという報告が蓄積されつつあるが、いずれも歯周疾患と心血管疾患との関係に着目した観察研究がほとんどで、関連を予測したものに過ぎない。最近、申請者はマイクロニューログラフィーを用い頸動脈硬化が進行すると、高血圧の主な要因のひとつとして知られる中枢性血圧反射感受性の低下を引き起こすことをヒトで直接確かめた。そこで、本研究は、マイクロニューログラフィーを利用し、歯周病患者及び健常者で、直接筋交感神経活動を記録し比較することで、(1)歯周病患者では交感神経活動が上昇しているか否か、(2)歯周病患者では交感神経性圧受容器反射感受性が低下するか否か、そして、約6ヵ月の歯周病治療を施した後、歯周疾患ステータスが改善したものと改善しなかったものにわけ比較することで、(3)歯周病ステータスの改善が圧受容器反射感受性の低下を抑制するか否かを明らかにする。 本研究では歯周病患者において、ヒト交感神経活動を国内外で始めて直接測定し、循環生理学的に評価する点、重篤なリスクを伴う循環調節機能低下の一因が歯周疾患に関わる動脈硬化にあるという発想から、中枢性血圧調節機構である圧受容器反射感受性を評価する点は極めて新規性が強い。上記の仮説を明らかにすることは、歯周病患者が心血管系疾患を合併するという報告のメカニズムを解明し、因果関係・発生機序を説明することとなる。それとともに、効果的な歯周疾患治療、あるいは予防管理を介して、将来の重大な心血管イベントを抑制する可能性を示唆する。つまり、心血管疾患のリスクを低下させる一つの方法、及び予測因子を提供できるという意味で本研究は社会的意義が非常に高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は歯周病患者及び健常成人を対象に動脈硬化度を評価するため、脈波伝達速度、Augmentation Index、中心動脈圧の測定が必要になる。それらすべての測定項目が1台で計測可能な実験器具としてAtCor Medical社(Australia)のSpygmoCorがあり、その購入を考えていた。ところが、米国での価格はおよそ$10,000であるものの、同製品を取り扱う日本の販売元(RIKOの一社のみ)は見積価格として日本円で\3,780,000を提示した。これは、本年に使用できる直接経費を超える金額で、購入により本研究の執行が困難となる。そこで、研究費の節約と他の研究執行に関わる経費を考慮し、輸入による購入、あるいは共同購入を検討していたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究プロトコールの遂行は当初の予定通りの2年で行う。そのため、残り年数との兼ね合いから、インクルージョンクライテリアに沿った被験者を大学内外から急募し、またその範囲を拡大することでより多くのデータ採取、介入を同時に行っていく。研究成果は国外の学会で発表し、多くの意見を国内外の専門家からいただき、論文執筆に際してより精度の高いものに仕上げ社会に還元していく
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Causes of Carryover |
本研究に必要な実験器具としてAtCor Medical社(Australia)のSpygmoCorの購入を考えていたが、米国での価格はおよそ$10,000であるものの、同製品を取り扱う日本の販売元(RIKOの一社のみ)は見積価格として日本円で\3,780,000を提示された。これは、27年度に使用できる直接経費を超える金額で、購入により本研究の執行が困難となるため、輸入による購入、あるいは共同購入を検討しており、その使用が遅れた。また、同機器の実験室へのセットアップが送れたため27年度に行う予定だった被験者への謝金の支払いが28年度に持ち越されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の機器の購入に加え、27年度及び28年度に予定していた実験を遂行することにより生じる被験者費用、消耗品の購入に充てる。 研究成果を国内、及び国外の両方で発表し意見を頂くために学会参加費と旅費に使用する。
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