2015 Fiscal Year Research-status Report
点滴スタンド使用時の転倒要因に関する人間工学的検討
Project/Area Number |
15K11484
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
蜂ヶ崎 令子 東邦大学, 看護学部, 非常勤研究生 (30385570)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 点滴スタンド / 方向転換 / 動作分析 / 転倒 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、点滴スタンドを使用した時の方向転換動作における身体的、心理的影響を人間工学的な見地から明らかにし、安全で負担の少ない方向転換方法を一旦停止の有無の比較より検証することを目的として、60歳の健康な男性に対する実験研究を実施した。 まず、点滴スタンドを持たない通常歩行による①右折、②左折と、点滴スタンドを伴う歩行(以下スタンド歩行)での③一旦停止あり右折、④一旦停止なし右折、⑤一旦停止あり左折、⑥一旦停止なし左折の計6種類を実施した。習熟の影響を避けるため、対象者によってスタンド歩行の実施順序を入れ替えた。測定項目は画像(方向転換動作観察、歩容測定)、左上下肢の筋電位、左肘関節角度、主観的評価であった。方向転換動作のターンを分類し、歩容、筋電位、主観評価の各変数はT検定、一元配置分散分析を行い有意水準5%とした。結果、方向転換を含むスタンド歩行は、通常歩行に比べて、歩行速度が低下し、歩行所要時間が長くなり、歩幅が狭まり、腕振り角度が小さくなり、頸部角度が前傾していた。通常歩行時はスピンターン、スタンド歩行ではステップターンが多かった。停止なし左折ではスピンターンをとる傾向があり、点滴スタンド脚部と足の接触確率が他のスタンド歩行に比べて多かった。主観的評価では11名(33.3%)が停止なし左折を最もやりにくいと答え、停止あり左折に比べて方向転換時の安心感が低かった(P < .05)。停止なし右折ではステップターンをとる傾向があり、主観的評価では12名(36.4%)が停止なし右折を最もやりやすいと答えた。停止あり右折に比べて、足への接触の負担感が低かった。 点滴スタンドを左で操作する場合、操作側である左に方向転換する場合は、方向転換時に一旦停止することが望ましく、反対側である右に方向転換する場合は、一旦停止をしてもしなくてもよいことが結論づけられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、機器購入、点滴スタンドを用いた実験の被験者募集、実験実施が順調に進み、おおむね計画通りに研究を遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に得られた研究結果を公表し、臨床実践者や専門家からの意見を今後の研究計画に反映させる。また、当初の研究計画案通りに、被験者が点滴スタンドに荷重をかけて杖代わりに使った際の身体的負担と歩行動作を調査する予定である。
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Causes of Carryover |
実験の被験者を追加するため前倒し請求を行なったが、それまでの研究結果を見直すとともにスケジュールを検討した。その結果、追加実験の実施を見送ったため、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、初年度の研究成果発表のための学会参加費および旅費、実験研究実施時の被験者への謝礼と人件費、専門家からの知識提供等に研究費を使用予定である。
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