2018 Fiscal Year Annual Research Report
An Ergonomic Examination of Factors Related to Falling When Using an IV Pole
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15K11484
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
蜂ヶ崎 令子 東邦大学, 健康科学部, 講師 (30385570)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 点滴スタンド / 転倒防止 / 動作分析 / 方向転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、点滴スタンドを使用時における転倒要因を明らかにし、より安全で快適な点滴スタンドの操作および使用方法を確立することを目的として行なった。初年度は、点滴スタンドを使用中の方向転換動作における身体的、心理的影響を明らかにし、安全で負担の少ない方向転換方法を検証した。結果、点滴スタンドを伴う歩行時の方向転換では、点滴スタンドなしの歩行時と比べ、歩行速度の低下、歩行所要時間の延長、歩幅の狭小化、腕振り角度の狭小化、頸部角度の前傾がみられた。これらは、転倒経験者や高齢者の歩行の特徴に近づく変化であった。また、一旦停止の有無によって、ターンの方法が変化しており、停止なしの左折では不安定とされるスピンターンをとる傾向がみられた。より安定的なステップターンをとるために、スタンド歩行時は一旦停止をした方がよいことが示唆された。この研究結果を広く周知させるべく、人間工学の専門家とともに論文内容の洗練を行なった上で英論文を作成し、学術雑誌に投稿を試みている。 最終年度は、さらなる文献検討を行なうとともに、これまでの研究結果を看護実践への提言としてまとめた。主な内容は、点滴スタンドを伴う歩行時の点滴スタンド使用時の設定および操作方法の推奨例と、点滴スタンド製造業者であるメーカー、病院・施設および看護師への安全で負担の少ない点滴スタンドの使用に向けた提案である。推奨例としては、輸液ボトルを吊り下げる位置、点滴スタンドの高さ、グリップを取り付ける高さ、5脚の製品の選択、体に対する点滴スタンドの操作位置、方向転換時の一旦停止などが挙げられた。また、メーカー、病院・施設、看護師に向けて、安全で負担の少ない点滴スタンドの使用に関する概念図を作成し、具体的な行動指針の提案を試みた。 本研究の結果は、入院患者の転倒事故発生の減少や、危険状況の回避につながるとともに、医療安全の質の向上に寄与すると考える。
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