2016 Fiscal Year Research-status Report
看護技術演習に導入する看護技術コオーディネーショントレーニングの開発
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15K11531
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
新美 綾子 日本福祉大学, 看護学部, 准教授 (90735466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大津 廣子 鈴鹿医療科学大学, 看護学部, 教授 (70269637)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 看護技術 / 看護学生 / コオーディネーショントレーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
看護技術教育に導入するコオーディネーショントレーニング方法の予備調査を実施した。予備調査の対象とする看護技術は、臥床患者の車椅子移乗技術に含まれる「臥床患者を端座位にする技術」と「アンプルから注射器への薬剤の吸い上げ技術」である。コオーディネーショントレーニング案は研究者と研究協力者とで原案を作成し、トレーニング前後比較をダートフィッシュにて分析を行った。また、質問紙にて被験者の自己評価データを収集した。 「臥床患者を端座位にする技術」では、主として関係するコオーディネーション能力を対人空間制御、空間定位、体幹平衡能力として考え、①くの字・Sの字運動、②低い姿勢のボール送り競争、③引き寄せ・引き上げ運動を実施した。運動所要時間は各運動2分~3分程度とし、運動の習熟ではなく、その運動を通して必要な「感覚を得る」ことを目指した。ダートフィッシュの測定結果では、トレーニング前よりも実施速度が早くなり、全体としてスムーズな身体の動かし方に変化していた。また、トレーニング前に重心移動を活用していなかった学生が、トレーニング後には重心位置を効果的に移動させて対象者の身体位置の移動に結び付けていた。よって、考案したトレーニング方法は有効であることが示唆された。 「アンプルから注射器への吸い上げ技術」では、主として関係するコオーディネーション能力を空間認知、空間定位、空間制御、対物分化能力、反応リズム能力と考え、①くの字・Sの字運動、②定規の先合わせ運動、ふわふわボール握り運動を実施した。ダートフィッシュでは、床から測定した肘の位置とアンプルと注射器で構成する角度を評価した。この動作においては、トレーニング前後で有意な差を認めず、運動方法の再検討が必要であることが明らかになった。これら2つの技術に対する自己評価では、いずれもトレーニング後の方が評価が高くなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
5つの看護技術において習得困難感が高い動作をターゲットに予備調査を実施する予定であったが、2つの看護技術についてのみ実施した。その理由は、コオーディネーショントレーニングによる看護技術の変化をダートフィッシュを使用してデータを収集する計画であった。しかし、看護技術を構成する動作に対する習得困難感の調査において、血圧測定などで客観的な身体の動きだけでは評価できない動作が習得困難感の高い動作として抽出されたので、評価方法を検討する必要が生じ、予備調査の実施が遅れているからである。 また、実施した予備調査により、アンプルからの吸い上げ技術についてはトレーニング方法を再検討する必要が生じたことも一因である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、以下の2種類の予備調査を実施する必要が生じたので、慎重に進めていく。 1.ダートフィッシュで評価できない看護技術の動作について、適切な評価方法を検討する。評価方法のための予備調査を実施する。特に、血圧測定時の眼球の動きと動作開始のタイミングを測定する方法は、先行研究が少ないことから、十分な検討が必要となる。 2.効果的なコオーディネーショントレーニング方法を確認するために、予備調査の回数を増やす。コオーディネーショントレーニングはスキルトレーニングとは異なり、実施する動作に関する身体の動かし方の「感覚」が自然に得られ、スムーズな動作の実施に結び付けるものである。よって、本研究に関するスーパーバイザーである徳島大学荒木教授を交えた定期的な学習会(研究者主催ですでに4回開催)を利用し、複数のトレーニング原案を作成し、最も効果的なトレーニング方法を予備調査を繰り返して確認する。 また、昨年度の予備調査において効果が確認できた「臥床患者を端座位にする技術」においては、調査対象者数を増やした本調査に移る。
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Causes of Carryover |
当該年度に実施予定であった予備調査が、看護技術の動作の新たな評価方法を検討する必要性が生じたことにより、予定していた実施回数より少なくなったことから、予備調査の対象学生への謝金として予定していた経費が使用できなかったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度予備調査を複数回実施する予定であるので、対象学生への謝金、コオーディネーショントレーニング方法のスーパーバイズを受けるための徳島大学への交通費、研究成果を国際学会で発表するための海外渡航費用の一部として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)