2015 Fiscal Year Research-status Report
看護過程・看護診断過程に関連するメディア・内容・送り手分析に基づく看護教育の検討
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15K11537
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
久米 弥寿子 武庫川女子大学, 看護学部, 教授 (30273634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 晴美 武庫川女子大学, 看護学部, 助教 (00750506)
冨澤 理恵 千里金蘭大学, 看護学部, 講師 (20584551)
片山 恵 武庫川女子大学, 看護学部, 准教授 (60295772)
上田 記子 武庫川女子大学, 看護学部, 助教 (40757217)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 看護診断 / 看護過程 / 内容分析 / 看護教育 / 看護記録 / 電子カルテ / メディア分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、看護ケアを導く思考過程である看護過程・看護診断過程の展開について、H.D.Lasswell(1975)のコミュニケーション活動を記述する観点5項目のうちの1)メディア分析(どんな媒体で)、2)内容分析(何について)、3)送り手分析(誰が)、という3項目を研究枠組みとして調査する。平成27年度は、このうちの送り手分析及び内容分析に関するデータ収集と経過報告及びメディア分析に向けての準備を行った。 送り手分析・内容分析に関しては、研究参加に同意の得られた看護師13名に対する半構成的な面接調査を実施し、看護過程・看護診断過程における看護師の思考・感情・行動の傾向を質的に明らかにした。分析では、インタビュー内容の逐語録を作成し、記述全体を文脈単位で捉え、1内容を1記録として個々の記録単位の内容を要約した。次に最も主体となる意味内容について、その類似性に基づき分類し、サブカテゴリーからカテゴリーへと統合した。その結果、思考の傾向では、27のサブカテゴリーと<特定の診断に関するパターン化された思考>等の11のカテゴリーを抽出した。感情の傾向では、10のサブカテゴリーと<看護診断を決定しなくてはならないという義務感>等の5つのカテゴリーが挙げられた。行動の傾向では、<カンファレンスの機会を重視>等の10カテゴリーを抽出した。 以上の結果から、看護診断の決定に関連し、パターン化した思考の傾向があることが示され、パターン化している臨床上のメリットや弊害等その両側面を詳細に検討する必要がある。また、パターン化した思考の背景には、看護診断理解の困難さや電子カルテシステムによる影響も考えられる。また、本研究の経過報告として、調査結果を国内学会で報告し、研究の方向性の確認や臨床実現場における見解との整合性の検討を行った。 メディア分析に向けては、倫理審査申請準備及び調査票の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度途中の助成金交付により、研究の全体的な開始及び実施が年度後半となったため、平成27年度は、研究計画のうちの面接調査を中心に研究を進めてきた。予定していた全国規模の質問紙調査準備に関しては、当該調査の倫理審査委員会開催に合わせて平成28年度に倫理審査を予定している。そのため、研究開始は、倫理審査後に承認を得てからとなる予定であるため、やや進捗が遅れる状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、前年度の面接調査結果を踏まえ、1)送り手分析用収集データの確認と面接調査追加の検討及び実施、2)送り手分析・内容分析のデータ分析、3)メディア分析・内容分析についてのデータ収集を中心に、以下のように進める。 1.送り手分析用データの確認・面接調査追加及びデータ分析:前年度の面接調査において対象者背景の偏りなどを検討し、データ不足がある場合には、追加の面接調査を実施する。得られたデータをテキストマイニング用に加工、精製し、分析を行う。また得られた結果の読み取りを行う。特にテキストマイニングによる言葉の出現頻度や言葉同士の関連性などを分析し、どのような観点で看護診断過程を認識しているのか、所属施設の特徴や専門領域ごとでの特徴を明らかにする。 2.メディア分析と内容分析の調査準備:倫理審査後、どんな媒体で看護過程・看護診断が展開されているのかメディアや記録内容を調査する質問票を作成する。具体的には、(1)看護記録の媒体として、①電子カルテ、②紙カルテ、③電子カルテと紙カルテの併用などを調査する。(2)看護記録の形式については、①問題志向型看護記録、②経時記録、③SOAP、④フォーカスチャーティング、⑤クリティカル・パス、⑥自作経過記録等を明らかにする。(3)内容分析としては具体的にどのような内容で作成されているのかを明らかにする。 さらに、調査対象施設の選定作業と調査票配布準備を行う。厚生労働省の医療施設動態調査・病院報告の概況に基づき、病床数別の病院と診療所の割合に対して層化し、全国7区分の地域で、各層からランダムサンプリングを行う層化抽出法で選定する。また、日本看護協会平成27年看護関係統計資料集を参考に看護師の就業先別の就業先割合を加味して選定し、病院3000施設、一般診療所1500施設、在宅部門を500施設、計5000施設を目安に調査をする予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度中に質問紙調査の準備を計画していたが、研究の倫理審査に関しては、看護診断に関連したインタビュー調査の部分のみを申請し承認を得ており、引き続き質問紙調査の部分の倫理審査を受ける必要がある。 実際には、倫理審査申請書提出準備が遅れており、質問紙調査の実際的な準備に取りかかれず、調査準備のための全国調査用データ検索費用及び調査用紙などの印刷・配布準備、データ分析用ソフト購入などの使用額の状況に遅れが出たことが要因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
早急に倫理審査申請書を提出して倫理審査を受け、承認を得た後に、全国調査用紙配布先の選択及び調査用紙準備と配布その他の準備やデータ分析用のソフトなどを購入する予定である。また、全国規模の調査を予定していることから、医療施設データ抽出作業費用も支出予定である。
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Research Products
(1 results)