2016 Fiscal Year Research-status Report
災害救援活動に従事した看護者のストレス・コーピング及び長期的適応プロセスの構造化
Project/Area Number |
15K11572
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
松清 由美子 久留米大学, 医学部, 講師 (60587468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 久子 九州大学, 医学研究院, 教授 (80164127)
立垣 祐子 兵庫医療大学, 看護学部, 講師 (80382266)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 災害救援看護者 / 災害救援活動 / ストレス・コーピング / 構造モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
災害救援看護者の救援活動におけるストレスの認知的評価から活動後の感情の変化、長期にわたる適応・不適応に至るまでのプロセスを性別で検討し、男女の構造モデルを作成した。 研究対象は、東日本大震災の被災県以外から被災地に入った女性393名・男性140名の災害救援看護者であり、Lazarus & Folkmanのストレス理論を基に、ストレスの認知的評価、活動後の感情の変化、長期にわたる適応・不適応の3段階に分け、各段階に影響を及ぼす要因を明らかにした。 構造モデルの内生変数は、男女ともストレスの認知的評価と活動後の感情の変化、長期にわたる不適応であった。影響要因である外生変数は、女性の構造モデルは、婚姻、救援活動の時期、救援活動内容(避難所の活動)、活動中の対処行動(冗談を言って笑う)、対処行動特性、活動後の対処行動(同僚との会話)、正当な他者評価であった。一方、男性の構造モデルは、救援活動内容(救命活動)と否定的な自己評価の2要因のみであり、性別により構造モデルに大きな相違が認められた。また、構造モデルの適合度は、女性はCFI 0.909、RMSEA 0.064、SRMR 0.032、男性はCFI 0.955、RMSEA 0.077、SRMR 0.050であり一定の適合を示した。 本研究結果より、女性は周囲との関わりと周囲のより肯定的な評価がストレス軽減に効果的であり、男性は「自分はもっとできたのではないか」といった救援活動に対する後悔の思いのみが活動後の感情やその後の適応に大きく影響していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度計画は、量的調査研究の結果作成した災害救援看護職者のストレスの認知的評価から活動後に至る心理的プロセスの構造モデルの妥当性を検証するため、質的データ収集であったが、性別による構造モデルの検討と海外学術誌への投稿のため、質的データ収集の実施が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、構造モデルの妥当性を高めるための質的研究に向けて、研究計画書を作成し倫理審査委員会より承認を受けている。 今後は、広島土砂災害及び熊本地震において救援活動を行った災害救援看護者を対象に半構成的面接にて質的データ収集を行う。得られたデータは、災害看護の専門家、質的研究の専門家にスーパーバイズを受け、質的データの解釈・分析を実施する。その後、量的データとの統合を行い構造モデルの妥当性を検討し、その結果をまとめ公表する。
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Causes of Carryover |
本年度、質的データ収集を計画していたため、交通費およびモバイルPC等の物品費を計上していた。しかし、論文作成に時間を要したため、今年度の質的データ収集が実施ができなかった。よって当該年度の使用学が予定より少なく次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
質的データ収集のための交通費、データ入力のためのPC等物品費及び質的データ整理のための人件費、謝金を計画している。
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Research Products
(2 results)