2016 Fiscal Year Research-status Report
NPPV管理下の筋萎縮性側索硬化症療養者における終末期の特徴と緩和ケア
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15K11617
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
牛久保 美津子 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (90213412)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / NPPV / 終末期 / 緩和ケア / エンドオブライフケア |
Outline of Annual Research Achievements |
非侵襲的呼吸療法(NIV)で終末期を迎える患者への緩和ケア検討のために、平成29年度に実施した調査は以下のとおりである。 ①NIVで初期治療を受けた緊急入院患者の転帰に関する調査:1病院のある3年間で、緊急入院したALS在宅療養者で、転院となった患者の退院までの経過を分析した。転院した8名の患者全員が初期治療で24時間NIV療法が施行された。その後の呼吸管理では、2名が気管切開、3名がTPPV(気管切開下人工呼吸療法)、3名が24時間NIVのまま転院となった。入院期間は平均77日間であり、療養場所と医療処置の意思決定と転院先受け入れに時間を要していたことが明らかとなった。ALSの緩和ケアでは、急速な病状進行により、急性の呼吸不全をいつ発症するかがわからない状況を考慮し、患者と家族に対する早期からの医療処置および療養場所における意思決定支援が重要であることが示唆された。 ②NIV管理下での緩和ケア検討のための文献調査:前年度から引き続き、NIV管理下でTPPVを希望しないALS療養者の終末期の緩和処置方法やケアの動向や現状を明らかにするために、国内外の文献検討を行った。その結果、NIV管理下の終末期ケアについては、循環器疾患、呼吸器疾患をはじめ、ALSにおいても、ほとんど注目がされていない状況が明らかとなった。一方、イギリスのホスピスのWebでは、NIV療法の維持困難時、あるいは本人の希望によるNIVを離脱するための多職種によるプロトコールが公開されていた。NIVの導入の際に、終末期の緩和ケアを含めて説明を行うこと、また維持困難期の緩和ケアの開発が必要であることが示唆された。 ③NIVで死亡した患者のケア経験を有する看護師を対象にした調査:今年度から、NIV療法の緩和ケアの状況について、認定看護師や専門看護師を対象にした面接調査を開始した。継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象者確保ならびに、研究者と対象者との時間があわず、専門家会議開催の設定ができなかったため、面接調査実施に切り替えた。現在、3名の看護師を対象とした面接調査を実施し、7名のケースについて分析中である。また初年度に実施した調査結果は、学会発表は行うことができたが、その論文化を現在、行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中の面接調査のデータ分析、ならびに、対象者確保に努める。研究者が柔軟に面接調査日を設定できるよう、大学の夏季休業期間等に設定し、対象者の都合に極力努めるようにする。また、論文執筆のためのまとまった時間を確保することが課題である。
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Causes of Carryover |
仕事の都合により、調査のための出張がかなわなかったこと、および遠方の対象候補者にアクセスができなかったことがあげられる。そのため、面接調査実施が効率よくすすまないことによる調査旅費、謝金の経費を次年度に回すことになった。また文献検索は、対象文献が少なかったこともあり、研究分野に精通する本研究者が試行錯誤により、いろいろな検索方法にて文献を入手する必要性が生じたため、臨時雇用者には仕事を頼まず、すべて主研究者自身が行ったため、人件費の支出が不必要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度が最終年度であるため、研究対象者に協力を得て面接調査の実施を行うこと(協力謝金や調査旅費など)、海外での研究発表、論文作成に努め、英文校正費や掲載費などに、助成金を使用するよう努める。
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