2015 Fiscal Year Research-status Report
がん体験者の「情報リテラシー」向上のためのプログラム開発
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15K11641
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
久保 五月 北里大学, 看護学部, 教授 (60348597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 まゆみ 北里大学, 大学病院, 看護師長 (10627459)
佐藤 威文 北里大学, 医学部, 准教授 (50286332)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 情報リテラシー / 情報ニーズ / 情報探索行動 / がん体験者 / がんサバイバー / 前立腺がん / 大腸がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、治療を終えたがん体験者の情報支援として“情報リテラシー育成プログラム”を作成することである。平成27年度はプログラム内容を検討するための基礎研究の段階と位置づけ、以下を実施した。 1.前立腺がん体験者の情報ニーズに関する研究 手術後6ヶ月の前立腺がん体験者6名を対象として、(1)情報ニーズに関する半構成的面接、(2)SF-36v2およびEPICを用いた健康関連QOL調査を実施した。参加者全員が排尿障害や性機能障害等の合併症を体験しており、面接内容から合併症による身体的、心理・社会的な問題に関する情報ニーズが抽出された。参加者は、自分が受けた治療だけでなく、選択しなかった治療法にも関心を寄せ、得た情報をもとに自分の選択が正しかったかどうかを確認しようとしていた。合併症が与える影響の大きさとともに、治療選択の困難さが示唆された。引き続きデータ収集を行い、手術後6ヶ月の情報ニーズの特徴をより詳細に分析する予定である。 2.がん体験者の情報リテラシーに関する研究 長期がん体験者7名によるフォーカス・グループインタビューを2回実施し、がん体験者の情報リテラシーを高める要因を調査した。体験者個人の領域、体験者相互あるいは体験者と医療者相互の領域、システムの領域の3領域から10のカテゴリーが抽出され、これらが有機的に関連しあっていることが明らかとなった。がん体験者の情報リテラシーを高めるためには、がん体験者個人への働きかけにとどまらず、医療者への教育・支援、がん体験者目線の医療システムの構築の必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、治療を終えたがん体験者の“情報リテラシー育成プログラム”内容を検討するための基礎研究の段階と位置づけ、計画通りに前立腺がん体験者の情報ニーズに関する調査を開始した。本調査は3年間の縦断調査であり、平成27年度は治療後6ヶ月時の調査にあたる。6名の対象者を得たところでデータを分析し、手術療法を受けた前立腺がん体験者の情報ニーズの特徴に関して知見を得ることができた。この結果は平成28年度に学会発表予定である。引き続き、データを追加しているので、本調査はおおむね順調に進展していると言える。さらに、がん体験者の情報リテラシーに関する研究成果を国際学会で発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
がん体験者の“情報リテラシー育成プログラム”内容を検討するための基礎研究として、平成27年度からがんの種類別に体験者の情報ニーズ調査を開始した。調査対象は前立腺がん、大腸がん、子宮がんの体験者であり、それぞれの情報ニーズを3年間にわたって調査する。平成28年度は、下記の調査を行う予定である。 1.前立腺がん体験者の情報ニーズに関する研究:平成27年度から治療後6ヶ月の情報ニーズ調査を開始しており、引き続き、対象者を増やしてデータ収集を継続する。さらに、平成28年度は同対象者の治療1年後の情報ニーズも追跡調査する。 2.大腸がん体験者の情報ニーズに関する研究:平成28年度は治療を終えた大腸がん体験者を対象として治療後6ヶ月の情報ニーズ調査を開始する。
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Causes of Carryover |
面接データの逐語録作成費用として約45万円を計上していたが、面接を担当した一部研究者が自分で逐語録を作成したため、人件費の支払いが予定よりも少額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、前立腺がん体験者の情報ニーズ調査と大腸がん体験者の情報ニーズ調査を併行して実施する予定であり、主な経費は、人件費・謝金と旅費となる。人件費・謝金の内訳は、2つの調査で実施する面接約30~45回分の逐語録作成費用である。また、平成27年度の研究成果を国内および海外の学会で発表するため、あわせて約40万円の旅費を計上する。
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Research Products
(1 results)