2018 Fiscal Year Research-status Report
高年初産婦とパートナーのための育児支援プログラムの開発と介入効果の検討
Project/Area Number |
15K11679
|
Research Institution | Gunma Paz University |
Principal Investigator |
中島 久美子 群馬パース大学, 保健科学部, 准教授 (50334107)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 幸子 群馬パース大学, 保健科学部, 准教授 (00587678)
臼井 淳美 群馬パース大学, 保健科学部, 講師 (20444929)
|
Project Period (FY) |
2016-01-27 – 2020-03-31
|
Keywords | 夫婦関係 / 夫婦の親密性 / 高年初産婦 / プログラム評価 / 介入研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.目的 高年初産婦の身体的精神的健康状態と夫婦の関係性を高めることを目的とした妊娠期夫婦参加型プログラムを開発し、参加群と対照群の夫婦の関係性及び妻の身体的精神的健康状態を比較をすることで開発したプログラムを評価する。 2.方法 妊娠期のプログラムに参加した夫婦を参加群(n=15)、参加しなかった夫婦を対照群(n=15)とした。プログラムは講義と参加型演習とで構成された。講義は、高年初産婦の心身のリスク、夫婦の思いの差異等の情報提供であり、参加型演習は夫婦の思いシートの記入と参加者意見交換であった。調査内容は、1)夫の関わりによる妻の満足感、2)妻の身体的負担感、3)妻の精神的健康状態であった。両群のプログラム実施前(妊娠期)とプログラム実施後(産後1カ月、3カ月)の変化を比較し評価した。研究は所属大学倫理審査委員会の承認を得て実施した。 3.結果 1)妻への夫の関わり満足感では、対照群の妻が産後1カ月に比べて3カ月の下位尺度「夫の家事育児」に有意な低値を示し(p<.05)、対照群の妻の満足感が低下したが、参加群の妻および夫の認識には変化がなく、夫の関わりに対する妻の満足感の低下が回避できた。 2)妻の身体的負担感では、両群の妻の認識に有意差がなく、産後1カ月では対照群の夫に比べて参加群の夫の認識に有意に高値を示し(p<.05)、妻の負担感に対する夫の認識が高まった。 3)産後の妻の精神的健康状態(EPDS)では、対照群には変化がなく、参加群の妻では妊娠期に比べて産後3カ月(p<.05)、産後1カ月に比べて3カ月で有意に低値を示し(p<.05)、参加群の妻の精神的健康状態の回復が認められた。 4.結論 本プログラムは、高年初産婦の産後の心身の健康と夫婦の関係性を高めるために効果的である可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高年初産婦とそのパートナーを対象とした妊娠期の夫婦参加型プログラムの実践を通して、プログラム参加群と対照群との比較を検討した。計画の段階では、プログラム参加者25組を予定していたが、高年初産婦とそのパートナーのリクルートに困難をきたし、実際には予定人数を確保することができなかった。また、計画の段階では、妊娠期、産後における継続的なプログラムの実践を予定していたが、実際には産後プログラムの実践と評価までは至らなかった。 プログラム評価の分析としては、妊娠期プログラムに参加した参加群15組、対照群15組の比較検討を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では、高年初産婦の心身の健康状態と夫婦の関係性を高めるプログラムを開発し、その介入効果を検討することが目的であった。プログラム評価を参加群と対照群とで比較検討した結果、妻への夫の関わり満足感では、対照群の妻の満足感が低下したが、参加群の妻および夫の認識には変化がなく、夫の関わりに対する妻の満足感の低下が回避できた。また、妻の身体的負担感では、参加群において産後の妻の負担感に対する夫の認識が高まった。産後の妻の精神的健康状態(EPDS)では、参加群の妻では妊娠期と産後1カ月に比べて3カ月で有意に低値を示した(p<.05)。以上の結果を踏まえて、高年初産婦の夫婦の関係性および妻の心身の健康状態を高めるプログラムの効果が検証させた。 本研究課題としては、以下の点が考えられる。 1)介入プログラムの時期と回数に関して:本研究では、妊娠期プログラム1回の開催であったことから、介入効果が十分であったとはえない。よって、妊娠期から産後における継続的な看護介入プログラムの時期を検討し、回数を確保することが必要である。 2)対象の初産婦夫婦への拡大:本研究では、高年初産婦とパートナーに焦点を当て、高年初産婦の心身の健康状態のリスクが回避でき、夫婦の協同の基に親への移行がスムーズにいくような妊娠期からの夫婦の関係性への支援、知識提供等のプログラムを開発した。今後は、親になる移行期の発達課題、および現在わが国で問題視されている虐待や産後うつの予防的看護介入を考慮しながら、対象を初産婦とそのパートナーまで拡大をしたプログラムの開発が必要である。
|
Causes of Carryover |
研究は、おおむね順調に進展したが、本研究の目的をより精緻に達成するための研究の実施として、最終年度の分析結果及び研究課題を踏まえて、学会発表、論文投稿を必要とする。
|
Research Products
(6 results)