2015 Fiscal Year Research-status Report
精神障害を抱える妊産婦のケアで、助産師が直面する困難と対処
Project/Area Number |
15K11709
|
Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
塩野 悦子 宮城大学, 看護学部, 教授 (30216361)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 功子 東京医科歯科大学, 医学部保健衛生学科, 教授 (20194102)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 精神障害 / 妊産婦 / 助産師 / 困難 / 対処 / 挑戦 / 質的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
精神障害を抱える妊産婦に対して助産師が抱える困難感と対処について、第一段階は4名、第二段階ではさらに7名の対象者に半構成的面接を行い、分析を行った。研究協力機関は4施設であった。本研究は倫委員会の承認を受けて行った。 第一段階においては、精神障害のある妊産婦のケアで助産師の困難は、『助産師の範囲を超えた業務』(コアカテゴリー)であり、<①精神障害のある妊産婦の知識不足>、<②時間の浪費>、<③情緒的巻き込まれ>の3点において困難を抱えていた。この時点で国際学会に申請し、2016年5月に発表予定である。さらにデータ収集をすすめ、計11名になり飽和状況と考え、質的研究の第二段階としてナラティブに分析を行った。助産師は精神障害のある妊産婦へのケアにおいて、服薬を続けるか否か、母乳を勧めるか否か、睡眠を優先するか否か、支援をするか否かの4点において助産師は挑戦していることが明らかとなった。この時点でもさらに国際学会に申請し、2017年6月に発表予定である。 本研究より、助産師は精神障害のある妊産婦のケアで様々な困難を抱え、日々挑戦していることが明らかとなった。国外文献では類似発表があるが、国内文献では発表がないため、本研究は重要である。臨床助産師は通常のケアに加え、精神障害のある妊産婦にも対応していかねがならないため、精神障害や服薬、対話技術などの学習を深めていかねばならない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、精神障害のある妊産婦に対する助産師の困難について2つの質的研究手法(質的記述的研究方法、ナラティブ分析方法)により分析をして結果を明らかにした。文献検討は続行中であり、平成28年度に向けてまとめていく予定である。予定していた助産師対象の妊産婦の精神障害に関する講習会は他組織でも行われており、平成28年度以降に実施を検討している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、本研究の質的研究は原著投稿を行い、さらに全国助産師への質問紙調査を予定通り実施し、助産師の困難な状況を明らかにしていく予定である。質的研究では、精神科のある総合病院の助産師と限定していたが、量的研究の調査施設の条件は思案中である。 講習会の実施については、平成28年度以降に実施を検討する。
|
Causes of Carryover |
研究対象者数が計画より少なかったこと、講習会未開催であったため、人件費・謝金の使用が少額だったことがその理由と考えられる。また平成28年度と平成29年度の2回の国際学会発表(2名分)は予定外であり、その費用を確保するために物品費などの支出を抑えていたことも、次年度使用額が生じた背景と考える。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度には全国規模の質問紙調査を実施するため、その印刷費・通信費・謝礼品などに予算を使用する。対象者(約1500名)は当初より規模を大きくする予定である。また平成28年5~6月には国際学会(プラハ)への参加費・旅費のために使用する予定である(参加費等で10万+旅費6泊7日×2名分)。
|
Research Products
(2 results)